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内製開発vsアウトソース開発

 第1回、第2回では今求められているIT人材について解説しました。第3回では少し視点を変え、永遠のテーマでもあり解はないと言われている内製開発とアウトソース開発はどちらが良いのか?について深掘りしてみます。今回は私が今直面している事業会社の立場での内製開発について解説をし、次回にアウトソースの話をしていきたいと思います。

 はじめに、内製化の話をする前に大企業に多くみられる情報システム子会社について触れてみたいと思います。読者の皆様の中には、まさにその中に在籍されている方も多いのではないでしょうか。

情報システム部門の子会社分割、統合はなぜ繰り返すのか?

 過去、大企業を中心に開発部門を子会社化したり、今度は子会社を吸収合併したりして開発の現場に期待と混乱を与えてきました。その背景はいくつかの課題や事情があったと推測できますが、まずは情報システム部門を子会社化することのメリットについて触れてみます。

 私も過去、開発部門を子会社化して代表を務めた経験もありますのでその時の背景や目的なども織り交ぜて解説したいと思います。

 開発部門を子会社化するメリットは

  1. 独自の給与体系が作れる
  2. 専門分野に特化した教育への投資
  3. 独自の評価制度の運用
  4. 親会社の定款外事業の展開(主に外販事業)
  5. 親会社との取引による開発コストの透明性と蓋然性の担保

 大きくはこの5つに分類されるのではないかと思います。唯一あるとするならば6つ目として「ポストを作る」もあるかと思いますが趣旨がずれるので、ここでは割愛します。

 1つ目の給与体系の変更は1つの事業会社の中に専門性が異なる部門があると他部門との給与格差が生まれがちです。採用においても会社の給与テーブルからはみ出す事もしばしばみられ、IT人材の給与を親会社と分けて考えたい場合に子会社することがあります。3つ目の評価制度にも関連しますが同一の評価、給与では採用が進まなかったり、評価の納得感が得られず離職が増え体制が維持できない場合に用いられる手法でしょう。また、2つめの教育についても他部門との差が出てしまう事を嫌って目的の一つになることもあります。

 よく見られるのは「わが社は過去の経験を生かして外販事業に挑戦しよう!」という事もあると思いますが残念ながら多くは失敗しているのではないでしょうか。もともと事業会社のIT部門が子会社化したからといってそう簡単には外販で食べてはいけません。よほど時代にマッチした製品やサービスを持っているならまだしも外販もしたことのない素人には営業すらままならず結果、質の低いサービスを提供し朽ちていくのが大多数ではないでしょうか。決して外販を否定しているわけではありませんが新規事業で成功するには

  1. 強みを生かす
  2. 他者がマネできないものである
  3. 市場がある(成長していく市場)
  4. 儲かる仕組みである(売上総利益が大きい)

 この4つは最低条件(本来はもっと分析が必要です)で入念な戦略立案と事業計画が必要であるにも関わらず、プロダクトアウト型で自社ができる事を中心に事業又はサービスを組み立て、後から上記4つのテーマに該当していなかったことに気付くのです。

 最後のコストの透明性担保と蓋然性においては自社開発をしていると開発コストがブラックボックス化し適正な投資であるかどうか判断が出来なくなる事があります。この目的が第1目的として子会社する事はないとは思いますが、親会社との取引にすることでコストの透明性を担保し、より正しい投資判断ができる事があります。子会社とは連結相殺取引として子会社利益分が相殺され財務的には「前と一緒」を担保できるのであくまでも管理会計上での可視化が目的となります。

 スタートしたものの、外販は失敗し親会社(発注元)から見た子会社の開発コストが思ったよりも高く、他社との競争に巻き込まれます。いわゆる使いにくい状態になると親会社はもっと技術力とコストのバランスの良い外部の会社と取引したくなります。これをされると子会社は困ってしまうので子会社を吸収合併し今度は「同じの釜の飯を食って目標を達成しよう!」や、「全社一丸となってこの荒波を乗り越えよう!」という事になるのです。もしかしたらもっと戦略的に吸収合併を行い、親会社の財務状態を良く見せる(恣意的に悪く見せることも)手段もあるかもしれません。

 私の少ない経験値ではありますが開発部門を子会社化し成功する唯一の目的は「給与体系の変更」と「独自の評価制度の運用」のみと考えています。それも給与体系を刷新する目的に合わせた評価制度を適用することで多くは転籍、出向した社員にデメリットをもたらすことになると考えています。デメリットばかりが前面に出てしまうと離職やモチベーション低下に直結しますから充実したオフィス環境や報酬制度、教育の充実といったコスト面でカバーし表面的に「良い会社化」する事案が多いのではないでしょうか。

次のページ
内製開発のメリットとデメリット

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この記事の著者

渡邉 信之(ワタナベ ノブユキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/11960 2019/05/08 06:00

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