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「モード1とモード2の優劣比較ではなく、双方の強みを活かす改革を」


 シリコンバレーやスタートアップ起業を経験し、今では老舗のSIerでCTOを務める小野和俊さん。メインフレーム中心で典型的なモード1企業はどうやってモード2を採り入れ、バイモーダルなIT企業へと変わることができたのか――。【※小野和俊さんの肩書は講演当時(2019年2月26日時点)のものです】

バイモーダルを目指す時、いかに対立を減らすか

 「本来、ITは何もないところから形にしたり、できないことを実現したり、驚きや喜びがある世界です。しかし現実は『うまくいって当たり前』になっている。これでは萎縮してしまいますよね。今日は私たちがいかにして変わることができたかをお話しします」

小野和俊さん

 セゾン情報システムズ常務取締役CTOであり、アプレッソ代表取締役社長の小野和俊さん。外資系IT企業でシリコンバレー勤務を経験した後に、アプレッソを起業。革新的で機動力ある「モード2」の文化の中で過ごしてきたという。2013年、アプレッソはセゾン情報システムズと資本業務提携し、小野さんは安定性重視の「モード1」的な老舗IT企業に身を置くことになった。

 セゾン情報システムズは約50年の歴史があり、メインフレームでの開発で実績あるSIerだ。しかし今ではAlexaスキルアワードで法人部門優勝するなど、新しい分野における開発にも強い企業へと様変わりした。

 例えばマッサージ支援スキル「クイックちゃん」。同社では福利厚生の一環で社内に簡易マッサージを提供している。施術者は視覚が不自由なこともあり、クイックちゃん導入前は常に社員が受付をサポートしていたという。そこに施術者が声だけで受付できるように、アレクサスキルを導入した。例えば「アレクサ、クイックちゃんで次の人を呼んで」と言えば、アプリはデータベースから次の予約者に通知する。これによりサポート人員の削減や施術の生産性向上といった効果だけではなく、何よりも施術者自身に「(誰かに頼らず)仕事で自立できた」と喜びと自信を与えることにつながった。小野さんは「技術の本質とは誰かを喜ばせたり、評価されること」と話す。

 もともとは「モード2」の世界にいた小野さん。アジャイルで、イノベーティブで、スピード重視で、ボトムアップ。そんな世界を志向してきた。ところがセゾン情報システムズと出会い、「モード1」の良さや価値を改めて感じたという。小野さんは双方の優劣を比較するのではなく「状況に応じてあんばいを変えていくのがいいのではないか」と思い至るようになった。

 小野さんはモード1は武士、モード2は忍者とたとえる。武士は鎧を身につけているため動きは遅くなるが、防御力は高い。厳しい社会ではあるものの、信頼性や安定性を実現している。一方、忍者は社会的な制約はなく、機敏に動くことができるが、矢が刺さればそれだけで致命傷となるなどの弱さもある。

 どちらも一長一短で認め合う価値があるのに、互いに否定してしまいがちだ。例えばモード2から見たらモード1は「恐竜の化石みたいに動かない。自主性がない」、逆は「あのチャラチャラした態度は何だ。仕事しているのか」など。

 バイモーダルを提唱したガートナーも、企業がバイモーダルを実践できるようになるまでは「文化的な対立で混乱する」と予想しており、対策として「二重人格的な要素を採り入れることが必要だ」と指摘しているという。

 いかにして文化的な対立を減らすかが、バイモーダル実現では重要となる。小野さんはバイモーダルを自転車の両輪に例えた。前輪は機敏に方向転換するモード2で、後輪は決まった方向に駆動力を与えるモード1となる。ここでどちらが偉いと考えるのは不毛だ。両者が共存することで自転車は安定して目的地まで走ることができる。

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変化はHULFTから全社へと コミュニケーションから企業風土を変えていく

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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