日常的なハードウェアの保守作業から解放され、運用負荷が軽減
いくつかのサービスを比較して、アイ・トピアが選んだのはGMOクラウドだった。「当時のクラウドのサービスは、クラウドと言ってもサーバーレンタル的なものがほとんどでした。GMOクラウドは、柔軟なリソースを提供するサービスになっている点を評価しました」と池田氏は述べる。GMOクラウドではサーバーごとに契約するのではなく、トータルのリソースを決めその中で必要なサーバーを構築できるようになっていた。そのため、まずはテスト環境を小規模で始め、その後に本番環境に拡張するといったことも容易に行えたのだ。アイ・トピア 情報システム部 マネージャーの中村篤史氏は、「SLAのレベルが高かったことも採用のポイントでした。それと実績があったことも、採用する上での安心感につながりました」と述べる。

アイ・トピアでは2011年夏頃から具体的なクラウドの検討を始め、9月からGMOクラウドへの移行を開始、2012年1月にはほぼ全てのオンプレミスにあった環境の移行を終了した。オンプレミスから移行するにあたり、大きな苦労はなかったと中村氏は振り返る。しかし、これまで手元にあったハードウェア機器がリモート環境に変わったことで、慣れるまでは多少戸惑いもあった。また机上で計算はしていたものの、大量データの移行は実際に行ってみないとどれくらいの時間がかかるかがはっきりしなかった。そのため「結果的にグループウェアの移行では、半日ほどサービスを止めざるを得ない状況も発生しました」という。
クラウド化により手元にハードウェアがなくなったことで「故障などのトラブルを気にする必要がなくなったのは、大きなメリットです」と中村氏は言う。トラブル時にサーバーのコンソールを開き再起動するといった作業もなくなり、サーバー機器の保守・メンテナンスをしなくて良くなったことでの負担減は大きい。さらに時間外での緊急対応といったことも、これまでのところ発生していない。このように日常的な運用管理の負担が減ったことで、急ぎの対応などのためにこれまで手が出なかったような業務も行えるようになったのだ。
またクラウド化によるコスト面のメリットとしては、コストを平準化できたメリットが大きいと池田氏は言う。クラウド化で大幅にコストが減ったとは言えないが、クラウドへの移行を開始した当初よりもクラウド上で動かしているサービスは増えており、さらに可用性、信頼性も上がっている。その上で管理の手間も減っているメリットを考えればトータル的にはコスト削減と言える。さらにかつての5年ごとのハードウェア調達と移行作業の繰り返しでは、周期的に大きなコストと手間が発生していた。それが、平準化できたことで保守・運用コストの偏りもなくなり、計画も立てやすく予測もしやすくなったと評価する。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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