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プライベートクラウド環境を構築し、適材適所でパブリッククラウドを活用/アイ・トピアの事例

edited by Operation Online   2019/09/05 11:00

 いま、企業のIT 部門はデジタルへの対応が求められている。しかし、既存ITシステムの運用保守に手間がかかっているため、簡単にはデジタルへの対応に取り組めない。特に中小企業では人材も限られ取り組むのは難しい。そのためまずは既存のIT環境をシンプル化し、日常の運用の手間を減らすことが必要となる。そこで活用したいのがクラウドだが、一足飛びでパブリッククラウドへ移行するのにはさまざまなリスクや課題も多い。こうした背景から、まずはプライベートクラウド環境を利用し、適宜パブリッククラウドも活用する「ハイブリッド型」のアプローチを現実解として採用する企業が増えている。地域密着型のメガネ店「メガネストアー」を展開するアイ・トピアの事例を通じて、クラウド移行に向けた企業の現実解についてレポートする。

将来的なパブリッククラウドの利用を視野に プライベートクラウド環境を構築

 「いまから20年ほど前のクラウドは、まさに雲を掴むような話で、エンドユーザーがメリットをなかなか実感できるものではありませんでした」と述べるのは、GMOクラウド株式会社 営業部 セールスセクション プリセールスグループ チーフの渡邊 享氏だ。その後10年ほどはそのような状況が続き、その間にAmazon Web Services(AWS)などのサービスが普及、徐々にクラウドのメリットが浸透し始めた。

GMOクラウド株式会社 営業部 セールスセクション プリセールスグループ チーフ 渡邊 享氏
GMOクラウド株式会社 営業部 セールスセクション プリセールスグループ チーフ 渡邊 享氏

 AWSのようなパブリッククラウドのサービスは当初、情報系 システムなどでの利用が多かった。あるいはインターネット越しに顧客にサービスを展開するECサイトなどで使われた。一方で従来から運用されている基幹系システムは、データの機密性を確保する要件などから、なかなかパブリッククラウドに置かれることはなかった。データの所在をはっきりさせて、さらにその所有権なども明確に自分たちに帰属していることが重要視されているためだ。

 また、実際にパブリッククラウドへ環境を移行したくても、既存のIT部門にはパブリッククラウドを使いこなせる人材もいないという問題もあった。特に中堅、中小企業ではそういった人材の育成を行う余裕もない。こうした課題がありながらも、柔軟なリソースを利用できるといったメリットを享受しつつ、リスクを最小限にしてクラウドを活用したい企業は確実に増えている。また使用している古いOSの環境を維持するためにも、まずはプライベートクラウド化してハードウェアの制約を取り除き、その上で運用管理の手間を減らしたいと考える企業も出てきている。

 こういった要望に応えるには、まずは既存のオンプレミスの環境をプライベートクラウド化して運用管理の工数を減らし、その上で適宜パブリッククラウドも活用する「ハイブリッドクラウド」の環境を選択する。そういったアプローチをとる企業が今、確実に増えていると渡邊氏は指摘する。

 地域密着型のメガネ店「メガネストアー」を展開するアイ・トピアも、まずはプライベートクラウドの環境を活用する選択をした。同社がプライベートクラウド化を進めたのは、東日本大震災がきっかけだった。当時アイ・トピアのITシステムは、東京町田の本社に設置されていた。町田は震災後、計画停電の対象地域となる。計画停電へのITシステムの対応では業務運用にも大きく影響を与えることになり、情報システム部では大きな苦労をすることになったのだ。

 株式会社アイ・トピア 情報システム部 マネージャーの池田 渉氏は、「今後、自社内にこのままサーバーを置くことが良いのか検討しました。ちょうどハードウェアの保守期限も迫っており、サーバーの調達から環境の構築をまた一から行うのかというのも課題でした。そこで、まずはハードウェアから解放される新たな環境を検討したのです」と当時の状況を述べる。実は震災前から、 将来的なクラウドの利用について同社では考えていた。震災がクラウド化のプロジェクトを一気に進める後押しをしたのだ。

株式会社アイ・トピア 情報システム部 マネージャー 池田 渉氏
株式会社アイ・トピア 情報システム部 マネージャー 池田 渉氏

 当時はクラウドという言葉は普及し、運用負荷が軽減されるとのメッセージは伝えられていた。しかしまだプライベート、パブリックの違いなどは明確化されていなかった。そのような中でアイ・トピアの移行対象は、DNSサーバーなどを除けば業務に直結する基幹系システム全てだ。基幹系システムの重要な情報をパブリッククラウドに置くことには、セキュリティやコンプライアンスを確保する上でも懸念があった。

 「電力、運用管理、セキュリティ、さらには防犯面などについては、クラウド環境は外にあるけれど全て自分たちでまかなうよりは安全性は高い。そしてクラウドでもプライベートであれば自社専用の環境を利用できるので、リスクも抑えられると判断しました」(池田氏)

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジ...

  • 丸毛透(マルモトオル)

    インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。  

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