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2025年の崖をどう超えるか

自社のSAPシステムをDX Readyにするために(第1回)


 既存システムにSAP ERPを導入しているSAPユーザ企業のIT部門が直面する課題が、「SAPの2025年問題」と呼ばれる保守期限切れ問題。これまでも本コーナーで概要を紹介してきたが、今回からその移行のための実践的な方法を解説する。BeeXの広木 太氏の連載の第一回。

はじめに──「攻めのDX」、「守りのDX」

 AI、IoT、BIGデータをはじめとした最新のテクノロジーは、かつてないほどのペースでビジネスや人々の生活に大きな変化を与え続けている。企業ではビジネス変革へのニーズに応えるべく、最新のテクノロジーを活用した「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の実現が期待されている。一方で安全性・整合性・統合性を優先した従来の基幹システムは、拡張性、柔軟性が欠如しており、企業が目指すべき生産性や創造性を加速させる活動ができないという問題がある。また、「業務の効率化」や「データの統合」を追求した結果、各システムが密結合となったが故に、基幹システムのすべてをクラウドへ移行することのハードルが高く、さまざまな課題が伴うために悩まれている企業は少なくない。このような現状を踏まえつつ、自社のSAPシステムをDX実現に取り組める段階(DX Ready)にどのように進化させるべきなのかについて、DX最前線の現場からその現実解を探る。

「守りのIT、攻めのIT」という言葉がよく使われるが、同様にDXについても「守り」と「攻め」の局面があると考えている。

① 「守り」のDX

 業務の効率化を中心としたDXを指す。業務プロセスの改善、経営データの可視化、製品やサービスをジャストインタイムで提供するといった既存ビジネスの高度化である。例えばテクノロジーを活用した働き方改革なども「守り」のDXといえる。

② 「攻め」のDX

 今までにない新しい価値を持つ製品やサービスまたはビジネスモデルを創出することを指す。新たな決済システム、Uber、Airbnbなどに代表される新しいビジネスモデルの創出が「攻め」のDXといえる。

 どちらのDXを目指すにしても、まずは既存システムを「DX Ready」な状態にすることが重要であり、そのために既存システムを「DX Ready」に進化させるためのステップとして、3つのアプローチが効果的と考える。

① リフトアンドシフト手法によるパブリッククラウド移行

 クラウドなくしてDXを実現するのは困難であり、まずはクラウドを使いこなす能力を身につける必要がある。そのためには既存システムをクラウド化し、クラウドの特性を学ぶとともに、クラウド特有の構築・運用スキルをユーザー様自身が身につけることが重要である。

② SoRとSoEの連携

 システムをその目的や特性(例:変更頻度が「数年単位」又は「数週間単位」など)に応じて分けるとともに、各システム間を相互に連携するシステムづくりが肝要である。典型的なパターンとしてSoRとSoEの分離があるが、その際には各システムが柔軟に変更できるように、疎結合型連携に変更することが重要である。

③ データドリブンを実現するプラットフォームの構築

 直感に頼らない、データを使った判断を実現するためのプラットフォームづくり、すなわちデータのリアルタイム化と、アナログ情報のデジタル化が必要になる。前者を実現するのがS/4HANA化であり、後者を実現するのがIoT、AI、Data Lakeといったテクノロジーである。

1.1. リフトアンドシフトとは

 用語の出自としては、2015年にGartner社が発表したクラウド神話Top10の中で、クラウドマイグレーション(クラウド移行)のトピックで使われたのが有名である。その定義については諸説あるものの、「既存システムをそのままクラウド上にあげて、クラウドに最適化させる」とあえて単純化して捉えるとわかりやすい。しばしば対比される手法として「クラウドネイティブ(Cloud Native)」があるが、こちらはクラウドが保有する機能を最大限活用する前提で、システムやサービスを新たに構築することを指す。

図1 クラウドネイティブとリフトアンドシフト

図1 クラウドネイティブとリフトアンドシフト

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1.1.1. まずはリフトアンドシフト

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この記事の著者

広木 太(ヒロキ)

株式会社BeeX 代表取締役社長

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/12673 2020/01/22 12:35

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