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週刊DBオンライン 谷川耕一

2020年は企業もそろそろ量子コンピュータの情報収集を始めるべきだ

 2019年はAIや機械学習の技術の普及が加速する一方で、従来技術との使い分けや適用領域の見極めもある程度浸透したといえる。そのことで、AIや機械学習の技術は落ち着きを見せ、実務に応用できるようになった。一方でこれからの技術として2020年以降注目したいのが、量子コンピュータだ。まだまだ企業がビジネスで利用するレベルには至っていないが、この技術のさまざまな動きが目立つようになっている。量子コンピュータがそろそろ自分たちの周りにも実際にやってくる、そんな世界を意識し始めるべきかもしれない。

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 量子コンピュータ技術の確実な進化が見えてきた

 2019年10月、量子コンピュータで従来のコンピュータでは不可能だったことを可能にする「量子超越性(Quantum Supremacy)」を達成したとGoogleが論文で明らかにした。一方、既に商業用量子コンピュータであるIBM Qを提供するIBMでは、このGoogleの発表を否定しているようだ。Googleの発表が本当なのか、IBMの主張が正しいのかを理解するのはなかなか難しいところもある。とはいえ、着実に量子コンピュータの技術は進化しており、一部は数年後にビジネス領域で活用できるのは間違いないだろう。

 量子コンピュータの開発は米国や中国がなかり力を入れており、この領域に国としても大きな投資を行っている。日本においても、それに追随するように新しいコンピュータ開発の動きが起きている。経済産業省が所管する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、2016年年度から2027年度のプロジェクトとして「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」を実施している。これは「ポストムーア時代」におけるコンピューティング技術開発を行うもので、「エッジ側での超低消費電力AIコンピューティング技術開発」および「高速化と低消費電力化を両立する次世代コンピューティング技術開発」を進める。2019年度の予算は84.9億円で、このプロジェクトでは、組合せ最適化問題を高速に解決すると期待される量子アニーリングマシンの開発も含まれている。

 また文部科学省でも「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」で、経済、社会的な重要課題に対し、量子科学技術(光・量子技術)を駆使し、非連続的な解決(Quantum leap)を目指す研究開発プログラムを行っている。ここでも量子コンピュータに関する基礎基盤研究が実施されている。米国や中国に比べると、この分野への投資額として日本は見劣りするが、それなりの額を投資し始めており、日本でもベンチャー企業を含む産学官連携体制で量子コンピュータの開発に取り組みが始まっている。

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IBMが東京大学と連携して日本での量子コンピュータ技術の発展を加速する

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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