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日本型経営、そして日本型内部統制

米国の金融破たんをどう総括するか

 米国の金融破たんは、一体どのように総括されるのでしょうか。企業や文化の違いを踏まえて、日本型経営を再評価する時期がきているのかもしれません。

金融破たんのリスク管理

 米国の金融破たんは、一体どのように総括されるのだろうか。エンロン、ワールドコム以来、躍起になって引き締めてきたはずなのに、かくもあっけなく吹き飛んでしまうとは、まさに「笑止千万」というほかない。

 COSOフレームワークで引っ張り、SOX法で世界を席巻してきた米国金融界が総崩れでは、一体彼らの内部統制は何だったのか、米国型内部統制の優秀さを主張してきた方々の意見をぜひ聞きたいものである。

 金融ゲームのリスクは、誰の目から見ても明らかではなかったか。住宅産業を筆頭に異常な高騰を見せていたのは大きなリスクを抱えて進んできたからではないのか。世界経済を壊しかねないリスク、米国だけでは食い止められなかったリスクを、漫然と放置した責任は大きい。これを防止できなかった米国の内部統制は再検討を迫られるだろう。

COSOの有効性

 私はかねてから、そもそもCOSOフレームワークはエンロン、ワールドコムの粉飾を防止できなかった代物であったし、外部取締役を導入してもほとんど意味がない、といってきた。現実に米国のいわば生煮えの制度では、コストばかりかさみ、その実はなかなかあがらなかった。

 私が主張してきたのは「日本型内部統制」というもので、日本的産業構造を前提にして、業務の流れを精査して、従業者が安心・安全に業務を遂行できる仕組みを形成することが重要である、ということである。当たり前だが、我が国の会社のステークホルダーは誰か、を考えればおのずと出る結論でもある。

 もし私が米国人であれば、米国型の合理的内部統制を主張していたと思う。おそらくは株時価総額制のみに依存することのない、実生産主義に基づいたリアル価値を基盤にすえた制度設計をしたはずで、もしそのような制度設計であれば、かくももろくは崩れてゆかないのは、明らかなのである。

 我が国の会社法も、大改正で米国型に大きく舵を切ってしまった。我が国における会社の意味を変質させるような改正であり、私としては大変恐ろしい思いでいっぱいであった。しかし、現在までのところは、日本型を残しつつ、ある意味手堅く進んでいる部分もあるように思う。

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日本的経営とは

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この記事の著者

牧野 二郎(マキノ ジロウ)

牧野総合法律事務所 弁護士。1995年にインターネットに出会い、翌年、ホームページ「Internet Lawyer 法律相談室」を開設して話題になる。 制度整備を通して、情報社会のあり方、自己実現の方法など、積極的な係わりを提言している。日弁連情報問題対策委員会委員。文書の電磁的保存等に関する検討委...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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