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デルが自ら実践して得たノウハウから見えてきたテレワークの7つのステップ

edited by DB Online   2020/05/07 11:30

 新型コロナウィルス対策で、急遽テレワーク体制に移行している企業が増えている。とはいえ準備時間がなかったこともあり、課題に遭遇している企業も多そうだ。Dell Technologies(以下、デル)の日本法人も、2020年3月4日から全面的にテレワーク体制に移行した。デルでは実際に取り組んだ経験をもとに、テレワークの実現に向けての7つのステップを見出した。

テレワークでも業務効率は落ちない

 テレワークでは業務効率が落ちるのでは、との懸念を持つ企業もある。そんなことはなくむしろ効率が上がったのがデルだ。デルではインサイドセールスの営業担当が電話で顧客と会話する時間を計測し、以前と比較した。結果はテレワーク後に、平均で10分間会話時間は増加していたのだ。「トーク時間は減ると考えていましたが、実際には増えていたのです」とデル 上席執行役員 広域営業統括本部長 瀧谷貴行氏は言う。

 デルでは、顧客との会話の内容もリアルタイムに分析している。たとえば、会話の音声データに対しマイニングを行った。そこから「ノートブック」「テレワーク」「モバイルPC」などの言葉が増えていることが分かる。中堅企業において、急ぎテレワーク環境を準備している様子がセールスの会話からもうかがえるのだ。さらに顧客は、テレワークに移行したデルのビジネスの進め方にも興味を持っている。「テレワークを行う上での技術的質問はもちろん、ワークバランスに関する会話も増えています」と瀧谷氏は言う。

 デルでは、2019年末から2020年1月にかけ「中堅企業 IT投資動向調査2020」を実施した。調査結果、働き方改革に着手する企業は前年よりも7.7%増え85.2%だった。働き方改革の目的は「これまでは生産性向上や従業員のモチベーションアップが多かったのですが、ここにきて新型コロナウィルス対策に変わっているでしょう」とデル 広域営業統括本部 中部営業部兼西日本営業部長 木村佳博氏は言う。

 働き方改革の実施状況では、ルールや制度の整備から入り現状はITによる環境整備などが増加している。働き方改革の取り組みは始まっているものの、変化そのものの実感はまだないとの回答も多い。またセキュリティ対策で出遅れている企業では、テレワークがなかなか進まない傾向も見て取れる。さらに中堅企業の18.5%が1人情シスの体制であり、ITの専門担当がいない企業も18.8%あった。多くの中堅企業では、IT人材の少ない中でセキュリティ対策やテレワークなど、ITがからむ新たな取り組みを急ぎ実施しなければならないのだ。

テレワークに取り組む7つのステップ

 デルでは、実際に全面的なテレワークに取り組んだことで、以下のようなテレワークの7つのステップを見出している。

  1. 仕事環境を持ち出せるノートブックPCがなければ始まらないため、その早急な整備が必要
  2. 在宅で仕事をするために、各家庭のWi-Fiなど通信環境の整備
  3. セキュアに社内のITシステムなどにアクセスするためのVPNなどの環境構築
  4. Web会議などテレワーク下でのコミュニケーション環境の整備
  5. よりセキュアにリモートでIT環境を利用できるようにするリモートデスクトップの導入
  6. 業務に必要なデータをテレワークでも安全に扱えるようにするNASやファイルサーバー環境の整備
  7. シンクライアント化などで、より高度なテレワーク環境の整備

 これら7つのステップのうち前段の4つに取り組むことで、まずは基本的なテレワーク環境が実現できる。ステップ1では、ノートブックPCの導入だけでなくモニターも準備できるかで業務効率が変わる。セキュリティ観点からも、テレワークでは紙への印刷は行いたくない。そうなるとノートブックPCの小さな画面だけでは仕事がやり難いのだ。モニター追加は、デルでも実際に取り組み効果を実感していると言う。

 また、個人所有のPCでテレワークを行う場合もある。この際の課題が、個人PCのOSが旧いことだ。ランサムウェア対策など新たな脅威に対応するためにも、個人PCのOS刷新は必須だと指摘する。さらに用意すると効果があるのがヘッドセットやUSB-Cのモバイルアダプタ、スピーカーなどだ。これらが揃っているとWeb会議などのコミュニケーションが快適になるとも指摘する。

 テレワークのためのネットワークの整備では、企業側のネットワーク容量が足りず全社員でVPNが快適に利用できない問題も発生している。根本的な解決策は、回線の追加やVPNゲートウェイのサーバー増強などだ。しかしながらそれらを進めると同時に「運用プロセスの見直しでも、問題を回避できることがあります」と瀧谷氏。従業員の職種などにより、常時アクセスが必要なメンバーとそうでないメンバーがいる。常時接続が必要なメンバーにVPNの利用を縛るのも、ネットワーク容量削減には効果がある。

 また業務で利用するアプリケーションで、VPN接続が不要なもののリストを作り展開したり、日報などの特定の時間帯にアクセスピークを迎えるアプリケーションがあればチームごとに利用時間を分け分散させたりするのも有効だ。デルでは自身が実践して得たノウハウをもとに、1から4のテレワークのステップをなるべくコストを抑え迅速に取り組めるよう提案することになる。

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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