Elasticを構成するプロダクト群とソリューション
かつて職場で「探しものをしている時間は働いているとはいえない」という指導を聞いたことがある。日ごろから整理整頓を心がけよ、という主旨だった。現在はどうだろう。仕事からプライベートまで、私たちは毎日何らかの情報を探している。仕事のメールや資料、自室にほしい家電や友達と行きたいレストランなど。
BIツールを提供するDomoの調査によると、2019年には世界で1分間に450万件ものGoogle検索が行われたという。日ごろから検索を繰り返し、私たちは検索キーワードを入力するのが上手になった。しかしそれ以上に検索エンジンも賢くなっている。虫眼鏡マークの検索窓はどれも似ているが、背後のデータ処理はいろんな形で進化を続けている。
検索を追求して成長している企業にElasticがある。データベースの検索エンジンからはじまり、検索ツールの開発や買収を通じて検索の可能性を広げてきた。今では企業システム内の情報検索だけではなく、システム監視やセキュリティ対策でも検索の強みを活かしたソリューションを提供している。契約している企業は1万1300社を越え、ビジネスでも売上を伸ばしている。
Elasticの日本カントリーマネージャー 川崎友和氏は「検索が(自社の)コアでありDNA。そして私たちが考える検索とは、検索ボックスにとどまりません」と話す。
配車サービスのUberもElasticの検索技術を活用している企業の1つ。ユーザーの出発地点から近くにいるドライバーを検索する。パートナーのマッチングサイトTinderでは、ユーザーの居住地や趣味やあらゆる情報から相性の良さそうなパートナーを検索している。
検索であるべき姿として川崎氏は「speed、scale、relevance(検索結果の的確さ)」の3つを挙げる。検索したらすぐに結果が返ってくること、スケールすること、そして結果は的確でなくてはならない。
Elasticは複数のオープンソースプロダクトから検索を実現している。基本的な構成要素はElastic Stack(またはELK Stack)と呼ばれてるプロダクト群だ。具体的には検索エンジンのコアとなる「Elasticsearch」、データを可視化する「kibana」、エッジからデータを運ぶ「beats」、サーバーサイドデータ処理パイプライン「logstash」からなる。
Elastic Stackをベースに実用的なソリューションも提供している。検索の「Elastic Enterprise Search」、監視の「Elastic Observability」、セキュリティの「Elastic Security」の3つ。
いざ使うとなると、どこにデプロイするかが問題となる。パブリッククラウドを使うなら、Elastic Cloudがある。主要クラウドベンダーとなるAWS、Azure、GCP、それぞれの東京リージョンに対応しており、それぞれのマーケットプレイスで購入できる。自社環境ならElastic Cloud Enterprise、KubernetesならElastic Cloud on Kubernetesもある(昨秋からリリース)。