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財務・経理DXの早期実現を支援したセゾン情報のリンケージサービス、伴走した当事者が語る舞台裏

 2020年4月、コロナ禍の中でセゾン情報システムズが完全在宅決算を実現させた。在宅勤務が推奨される現在、財務・経理部門だけは出社して業務を進めている会社が多い中、同社はなぜ迅速に決算までもオンラインで行えたのか? そのプロセスの裏側を、同社のリンケージビジネスユニット リンケージクラウド部 部長の北田博之氏に小社の押久保剛統括編集長が聞いた。

会社全体の目的達成の流れの中で、財務・経理部門のDXも推進

押久保剛(以下、押久保):御社が財務・経理部門のDXをスタートさせたのは2019年10月と伺っています。そこから、2020年4月に完全在宅決算を実現するわけですが、非常に短期間で社内におけるDXの推進が行われたように思えます。

北田博之氏(以下、北田氏):スピード感があったのは、財務・経理部門に限らずDXを推進する土壌ができあがっていたからです。弊社は2016年に経営危機に陥りました。原因の一つは、属人的な業務により情報の透明度が不足していたことでした。そこで属人的な業務を可視化させるため、デジタル化の推進が全社で加速していきました。

 つまり、財務・経理部門のDXが目的ではなく、デジタル化を通じて、オープンで風通しのいい会社へ変えていこうという大きな目的があったのです。財務・経理の業務改革は2017年から始まっていて、DXは目的を達成するための重要なプロセスではありました。

セゾン情報システムズ リンケージビジネスユニット リンケージクラウド部 部長 北田博之氏
セゾン情報システムズ リンケージビジネスユニット リンケージクラウド部 部長 北田博之氏

押久保:北田さんはリンケージサービス(“つなぐ”サービス)の担当として、会社の目的を達成するために財務・経理のDXを推進したわけですが、どのようなご苦労がありましたか?

北田氏:私はずっと開発畑でしたので財務・経理の業務がまったくわかりませんでした。日々、仕事に追われている部署という認識くらいしかなく、プロジェクトを始めるにあたっては、財務・経理のメンバーから業務のレクチャーをしてもらうことから始めました。

押久保:他部署の業務変革を行うにあたり軋轢などはなかったのですか?

北田氏:先ほど申し上げた通り、弊社は変わる必要がありました。その思いを財務・経理のトップも強く感じており、そういったことはありませんでした。2019年10月から始まったプロジェクトは、12月には財務報告業務自動化サービス「BlackLine」の導入が完了し、2020年3月には資金管理ソリューション「Kyriba」の導入も完了しました。

押久保:わずか3ヵ月で導入が終わったのですね。よく決算中心で動く財務・経理部門だと期末決算が終わらないとシステム導入は難しいという話を聞きますが、どのような進め方をされたのですか?

北田氏:短期間で効果を出すために、まずは導入し、その後細かい改善をしていくというスタイルが必要ではないかと考えました。BlackLineやKyribaも一部機能のみで導入できますし、クラウドのサービスですから既存システムに手を入れることなくデータ連携のみで利用可能です。導入後は財務・経理部門がもっとこうやったら効率的なのではないかなどサービスの改善を行っていました。そして、2020年4月には完全在宅決算ができるようにまでなったのです。

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業務量3割削減などの定量成果のほかにある、もう一つの「成果」

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

株式会社エヌプラス代表取締役デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実施...

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