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「車輪の再発明」からの脱却がビジネス成長を牽引――ホワイトプラスが実践したデータマネジメント


 株式会社ホワイトプラスは、ネット型宅配クリーニング「Lenet(リネット)」を展開している。同社はサービス向上の開発のために、社内に散在していたデータの共通化基盤を構築した。部門ごとに独自進化し、サイロ化し分断したデータを統合するプロジェクトの経緯と成果について、同社のCTOの森谷光雄氏に話を聞いた。

競争力を生む内製型エンジニアチーム

 「サービス開発のためにチームはデータを活用していたが、車輪の再発明をしていたんです」。ホワイトプラスのCTO 森谷光雄氏は、同社のデータ基盤構築のプロジェクトのきっかけをそう紹介した。同社はネットを利用したネット型宅配クリーニング「Lenet(リネット)」を展開している。

 リネットは、Webやアプリで注文ができる衣類の宅配クリーニングサービスだ。店舗に行くことなくインターネットで注文から宅配手配まで完結でき、早朝・深夜の集配のほか、高品質なケアサービスを標準的に行うなど、利便性の高いサービスを提供している。同種のサービスは競合も多いが、「優位性は納品までのスピード」と森谷氏はいう。競合は、衣服の預かりから納品まで5日程度かかるのに対し、ホワイトプラスは翌日に配送ができるという。また配送は全国規模となり、例えば沖縄でクリーニングを預けて、東京の自宅で戻って受け取ることも可能だ。

 ユーザーの申込画面から、物流工場までの連携したシステムを構築してきた。業務システムとしては、問い合わせ管理、顧客管理、決済、出荷、受注、生産支援、集荷連携、検品などの13の機能群から構成される。これらとサプライチェーンと社内の業務支援までのすべてを、内製できるエンジニアチームが同社の強みだ。

データマネジメントの課題が浮上

 こうして創業以来10年間にわたり、システムの改善を続けてきて規模が大きくなるにしたがって、課題が生じてきた。

 マーケティング(広告・行動)系、受注・生産系、顧客対応系など縦割りにそれぞれが外部のクラウドサービスなどを活用しそれぞれ別に進化してきたことによる、無駄なデータの整理作業や不整合の問題だ。

 とはいえ、当初はデータは同じチーム内で活用されていたので問題はなかったが、徐々にチームの中ですら、データについての見通しが悪くなっていった。特定の業務のために抽出されたテンポラリのデータが、どんどん進化して重要データとなっていく。ところがそのデータの必要性に気づかない者が削除してしまうというトラブルも生じた。

「同じチーム内でも把握できていない。誰かがデータソースとの関係を把握すべきだと気づいた」と森谷氏。

 チームで必要な業務のためのデータを抽出するのにも無駄が多かった。担当は時間をかけ、SQLを使いデータの抽出・加工の作業をおこなうのだが、すでに他の誰かが似たような集計を重複して実行していた。「類似するデータをゼロから抽出するという車輪の再発明が発生していた」(森谷氏)という。

 類似のデータをそれぞれのチームが別の用途で抽出し、さらに抽出のロジック(SQL)もバラバラという状況だった。

「存在しているデータも存在を知らなければ無いのと同じ。抽出ロジックを一元化し誰かが管理すべき」(森谷氏)。

 さらに問題は、データ定義のバラつきだ。リネットの事業の場合、サブスクリプション型のビジネスだ。本来の売上は、定期期間の会員費とユーザーからのクリーニングのたびに発生する注文売上を加えた金額となる。しかし別のチームはを顧客ごとのクリーニング注文金額だけを売上として定義しているという状況で、「車輪の再発明ならまだしも、車輪ではないものが発生していた」(森谷氏)のだ。

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データの集約と可視化が開発生産性を向上

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

翔泳社 メディア事業部。同志社大学卒業後、人材採用PR会社に就職後1994年から翔泳社に参加。以後、翔泳社の各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、嘱託社員の立場でEnterpriseZineをメインに取材・編集・書籍などのコンテンツ制作に携わる。 趣味:アコギ、映画鑑賞。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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