SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

翔泳社の本

今さら聞けないクラウドAPIの基本【前編】: IaaS / PaaS / SaaS

抄録:『絵で見てわかるクラウドインフラとAPIの仕組み』


1.1.3 IaaS/PaaS/SaaS の違い

 続いて、「販売商品」の観点で整理します。これは、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)と呼ばれる分類にあたります(図 1.5)。歴史的には、クラウドサービスの利用は、SaaS タイプのサービスから広がっていきました。

 これは、企業向けの CRM アプリケーションや、個人向けのメールサービスなど、エンドユーザーが直接に利用可能なアプリケーション環境をクラウド上のサービスとして提供するものです。このようなサービスは、クラウドコンピューティングという用語が登場する以前より、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)という名称で提供されていましたが、一種のマーケティング戦略として、「クラウドサービス」という名称で呼ばれるようになりました。

図1.5 IaaS/PaaS/SaaS が提供するリソースの違い
図1.5 IaaS/PaaS/SaaS が提供するリソースの違い

 次に、PaaS タイプのサービスでは、アプリケーションの開発/実行環境がクラウド上のサービスとして提供されます。アプリケーションの開発を始めるには、アプリケーションサーバーとバックエンドのデータベース、あるいは、開発フレームワークやコンパイラーなどの準備が必要です。

 PaaS を利用すると、これらの環境が自動的に用意されるので、アプリケーション開発者は、すぐに開発に取りかかることができます。従来のフレームワークやデータベース環境をそのまま提供するサービスの他に、そのサービスに固有の特別なフレームワークやデータストアを提供するものもあります。

 そして最後は、本書のテーマである IaaS タイプのサービスです。IaaS タイプのサービスでは、サーバー、ネットワーク、ストレージといった、IT インフラの構成要素をサービスとして提供します(図 1.6)。

 サービスの利用者には、それぞれに専用のテナント環境が用意されます。その中において、「仮想ルーター」や「仮想スイッチ」などの仮想的なネットワーク機器、「仮想マシンインスタンス」と呼ばれる仮想サーバー、そして、データ保存のための「仮想ストレージ」などを自由に追加していきます。

 つまり、仮想化された環境内で、サーバー、ネットワーク、ストレージという、IT インフラの 3 大要素を自由に組み合わせて、自分専用のサービス基盤を構築することが可能になります。

図1.6 IaaS タイプのクラウドサービス
図1.6 IaaS タイプのクラウドサービス

 先の図 1.5 に示したように、SaaS/PaaS/IaaS は、ユーザーに提供される IT リソースの範囲の違いと捉えることもできます。しかしながら、IaaS の上に PaaS が作られる、あるいは、PaaS の上に SaaS が作られるという単純なものではありません。

 たとえば、SaaS の場合、サービスの利用者から見えるのは、あくまでアプリケーションのユーザーインターフェースです。アプリケーションの機能でマルチテナント化することにより、同じサーバー上で稼働する 1 つのアプリケーションを複数ユーザーに利用させることも可能です。インフラそのものを仮想化することは、必須というわけではありません。

 一方、IaaS の場合は、サーバーやネットワークなど、インフラの構成要素そのものをユーザー個別に提供する必要がありますので、それぞれのコンポーネントを仮想化して提供することは、ほぼ必須の要件となります[※ 1](図 1.7)。

 このように、IaaS タイプのクラウドで提供されるリソースは、物理環境から切り離されて仮想化されているという点に大きな特徴があります。この後で説明するように、仮想化によって抽象化されたリソースを効率的に操作するうえで、API が大きな役割を果たすことになります。

図1.7 SaaS/PaaS と IaaS の本質的な違い
図1.7 SaaS/PaaS と IaaS の本質的な違い

 ※1 IaaS タイプのクラウドサービスには、物理サーバーを利用できるものもあります。このようなサービスにおいても、物理サーバーであることを意識せずに仮想マシンと同様の手続き(API)で利用できるため、「API から操作する」という本質は変わらないと考えて良いでしょう。

絵で見てわかるクラウドインフラとAPIの仕組み

Amazon  SEshop  その他


絵で見てわかるクラウドインフラとAPIの仕組み

著者:平山 毅、中島 倫明、中井 悦司、矢口 悟志、森山 京平、元木 顕弘、平山 毅 監修
発売日:2016年02月18日
価格:2,838円(税込)

本書について

本書では、主にIaaS(インフラサービス)を中心としたクラウドを使ったシステム構築を想定し、クラウドインフラ構築に携わるエンジニアが知っておきたい知識――クラウド共通の機能や内部構成、アーキテクチャなど――について解説します。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
翔泳社の本連載記事一覧

もっと読む

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/13439 2020/11/19 18:01

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング