基本的な対策は「4つのP」――パッチ・分割・アクセス権・境界
では、セキュリティ対策の重要事項(基本的な対策・可視化・準備)は、どうすれば適切に実践していけるのだろうか。
最初の基本的な対策に関しては、インシデントの予防や抑止のための「4つのP」――パッチ(Patch)、分割(Partition)、アクセス権(Privileges)、境界(Perimeter)を徹底すること。最も重要なのがパッチで、古川氏は「パッチに始まりパッチに終わる」と強調する。日本はまだパッチの適用率が高いものの、VPNの脆弱性など深刻なものもある。他にもネットワークの分割、それからデータの棚卸しをしてアクセス権を適切に設定すること。そして境界で守っていく。
続いて可視化。古川氏は「最も重要な情報は環境の可視化から得られる」と話す。可視化することで適切に対応を行うことが重要になる。これはすなわち、ITガバナンスの実現へとつながる。
しかし、実際のところ、可視化の実現はハードルが高い。なぜ難しいのか。古川氏によると、可視化できない原因は3つあるという。観測できるところしか観測してないため「見ていない」、アラートや誤検知が多すぎて「見きれない」、テクノロジーで検知できなくて「見えない」。
「見ていない」、つまり死角があると、攻撃者はその隙を狙う。死角を減らすには、守備範囲外や想定外からの攻撃を網羅したテストを実施する必要がある。「見きれない」に対しては、脅威判定を自動化するプロセスを導入する、あるいはマネージド・セキュリティ・サービスなどに委託して解決するのもいいだろう。
そして難しいのは技術的に「見えない」ところ。ここは攻撃の件数としては少ないものの、標的型攻撃のようなものが挙げられる。アラートを待つことなく、能動的に脅威をハンティングするプロセスを導入するのが有効だ。インシデント対応チームを組み、トレーニングを重ねたり、外部のサポートを受けたりしながら進めていくことになるだろう。
最後に準備だ。古川氏は英国軍人でボーイスカウトの創始者でもあるロバート・ベーデン=パウエル卿の「備えよ、常に(Be Prepared)」を挙げた。事故対応では初動対応が極めて重要であり、迅速な初動対応を行うには適切な準備が必要になる。そして、準備していた過程を想定通りに遂行できるようにするには経験が必要になる。
コロナ禍でテレワークが必須となり、リスクは高まっている。これまで以上にサイバー攻撃に警戒し、セキュリティ対策の成熟度を高めていく必要がある。ニューノーマル時代を見据え、セキュリティの基本的な対策、可視化、準備を徹底していこう。
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