購買サポートサイト「価格.com」や、日本最大級の旅行情報サイト「フォートラベル」などの運営で知られる株式会社カカクコム。グループサイトの月間利用者数はのべ3000万人に迫り、月間総ページビューは8億を優に越える。膨大なトラフィックを賄うネットビジネスを展開するためには、サイトの信頼性や安全性は欠くことのできない要素であり、上場企業として責任も問われる。日進月歩で進化するネット業界において、急成長する同社がどのようにコンプライアンスを捉え、取り組んでいるのか。取締役COOの安田幹広氏にお話をうかがった。(取材・文/伊藤真美)
3000万の利用者に対するネット企業としての責任
――インターネットの世界で急速にビジネスを拡大させてきた御社にとって、コンプライアンスとは、どのような存在であると捉え、具体的にどのような対応を行っているのでしょうか。
まず、一部上場企業の市場に対する責任という意味で、事業継続のために必要不可欠な「パスポート」のように捉え、重く受け止めています。ですから、法令で定められたプロセスに則って社内を運営管理するのは、最低限行うべきこと。
また、おっしゃるように、カカクコムでは現在11サイトでサービスを提供しており、のべ3000万人弱のお客様にご利用いただいております。ネットビジネスはなにか問題が生じた際には、そうした多くのお客様に一瞬にして影響を与える可能性があります。
ですから、データの正確性やコミュニティの健全な運営、サイトの品質などが世の中の仕様に準拠しているかといった、ネット上の施策については特に常に心を砕いているところです。
安田 幹広 氏

――内部統制対応では、複雑化した業務の見直し等に大変な時間とコストをかけなければいけない企業も多く見られました。御社の場合はいかがでしょうか。
歴史ある企業に比べれば、設立12年目のカカクコムの業務フローはさほど複雑ではなく、シンプルに成り立っています。ですから、属人化や業務フローの複雑化といった問題が少なく、透明性が保たれやすいかと思いますね。
ビジネス自体も、成果報酬型の広告やアフィリエイトなど、既に仕組みとして完成したものを組み合わせたモデルが多いので、それぞれのユニットに対して統制もかけやすいでしょう。また、個人情報などの情報取得を最低限に抑えるなど、できるだけ身軽でいようという工夫も行っています。
カカクコムの業務の中で最も比重が高いのが、WEBサイトの運営なのですが、出来上がってしまえば、システムで統制されている部分が多いため、コンプライアンスの強化を進めるといっても人の作業に大きな負担を与えることはありません。しかし、裏を返せば、IT統制については構築の段階から、かなり厳密に行う必要があるというわけです。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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