ソフトウェア構成管理を実践するためには、ワークスペースやバージョン管理ツールの使い方などについてルールを定める必要があります。今回は、ソフトウェア構成管理の運用を規定する「プロセス制御」についてお話します。
プロセス制御の考え方
前回はソフトウェア構成管理の重要性について述べました。ツールを使って、ソースコードをバージョン管理するだけでは、本来やりたいことである「目的に応じて、必要な構成を任意に再現する」を実現できません。バージョン管理は、あくまでソフトウェア構成管理の一部を担う要素です。「ビルド管理」「ワークスペース管理」「プロセス制御」という他の要素と連携させることによって初めてそのメリットを享受できるのです。
今回はソフトウェア構成管理の4要素のひとつ「プロセス制御」について解説します。
プロセス制御とは、ソフトウェア構成の管理や変更を行う際のルールのことです。どのような手順でリポジトリからソースコードをチェックアウト、どの時点でリポジトリに再びチェックインするのかといった手順(=プロセス)を規定します。プロセス制御がきちんと行われなければ、せっかくのバージョン管理の効果も半減してしまいます。
例えば、開発メンバーがそれぞれ勝手にリポジトリを利用していれば、いくらバージョンが付与されていても、必要なときに任意の構成を再現することは難しくなります。「1つのバージョンに複数の変更がふくまれている」「テストをしていないコードがチェックインされている」といった状態では、本来の目的が達成できるとは思えません。メンバー各人に運用方法を委ねている限り、成果物を正確に識別することが困難になります。よって、運用には何らかのルールを設ける必要があるのです。

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長沢 智治(ナガサワ トモハル)
ソフトウェア開発業務改善のプリンシパル コンサルタント、ソリューション アーキテクトとして多くの多種多様なソフトウェア開発の現場のお手伝いを経験。現在は、マイクロソフトのエバンジェリストとして、特にチーム開発、開発プロセスやプラクティスの訴求を行うべく活動中。 ・ブログ「長沢智治のライフサイクルブログ」
...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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