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2020年のSaaSトレンド総括とマネーフォワードのグロース戦略

edited by Operation Online   2020/12/24 08:00

 2020年11月、マネーフォワードグループのスマートキャンプが「SaaS業界レポート2020」を公開した。今回で4回目となるレポートの公開を記念してマネーフォワードが開催したウェビナーの内容を紹介する。

2020年SaaSはバックオフィスが上昇、マーケ&セールスが減少

 前半はスマートキャンプの阿部慎平氏(取締役COO)が、「SaaS業界レポート2020」のハイライトを紹介した。2019年11月にマネーフォワードのグループ会社になったスマートキャンプは、法人向けSaaSの比較、検討サイト「BOXIL SaaS」を運営している。SaaSに関心のあるユーザーの資料請求動向からレポートを作成するようになり、2017年6月に出した最初のレポートから数えて今回で4回目になるという。

 SaaSの需要動向を見るため、BOXIL SaaSの資料請求動向を分析したところ、「コラボレーション」と「バックオフィス」分野の製品への資料請求がそれぞれ11.7%、24.4%増加し、「マーケティング&セールス」と「HR」分野の請求が減少したとわかった。特にコロナ禍でリモートワーク環境を整備する需要が高まったことから、「Web/テレビ会議システム」「電子契約サービス」の2つの分野での資料請求が急増している。

BOXIL SaaSで資料請求が急増した2つの分野 出典:スマートキャンプ[クリックして拡大]

 ここまではユーザー動向であるが、日本でも増えてきたSaaSスタートアップのビジネスはどうなっているか。阿部氏が重視するトレンドとして挙げたのは、以下の3つであった。

  • 資金調達規模・時価総額の大型化
  • バーティカルSaaSを含む領域の多様化
  • 事業シナジーを目的としたM&Aの増加

 INITIAL(旧ジャパンベンチャーリサーチ)の調べによれば、国内SaaSスタートアップのうち、2019年に資金調達を行った企業は155社、調達金額は744億円となった。1社あたりの調達金額は2018年比で3億円から4.8億円に増加した。2020年の動向が気になるところだが、阿部氏の肌感覚では調達市場環境が悪化した兆候はないようだ。建設施工管理SaaSを提供するアンドパッドは、2020年7月に40億円、10月には追加で20億円の調達に成功している。また、調剤薬局向けSaaSを提供するカケハシも2020年10月に18億円の調達に成功している。この2社は特定の業種のビジネスプロセスに特化したバーティカルSaaSである点が共通する。さらに、国内SaaSのIPO動向を見ると、上場時から時価総額を大きく増やす傾向が見られ、株式市場でもSaaSビジネスの成長性が評価されているとわかる。この高い企業価値評価を活かし、M&Aでさらなる成長を目指す企業が増えていくとスマートキャンプでは見ている。

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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