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ミッコ・ヒッポネン氏が警鐘を鳴らす2021年のセキュリティトピックとは

ランサムウェア 2.0やスチューピッドデバイスの脅威を語る

 フィンランドに本社を置くF-SecureでCRO(Chief Research Officer、主席研究員)を務めているミッコ・ヒッポネン(Mikko Hyppönen)氏は、セキュリティ分野の世界的な研究者として活躍しており、日本でも多くの人が知っているのではないでしょうか。今回は同氏に、新型コロナウイルス感染症によって大きな変化を見せているセキュリティの最新動向についてインタビュー。知見豊富なミッコ氏がランサムウェアの変化をはじめ、IoT機器において「ヒッポネンの法則」以上に注視すべき新たなトピックとは何かを語ります。

セキュリティにおける大きな変化とは

――最初に、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るう中、この1年間で感じたセキュリティに関する大きな変化を教えていただけますか。

 昨年から新型コロナウイルス感染症が拡大している中で、特定の国や企業に限らず世界中であらゆる人たちがリモートワークへシフトしているという点に関して、3つの変化が起きていると考えています。

 1つ目は、企業が社内データをインターネット上に公開しているという変化です。IPアドレスをスキャンするなどの調査をしていると、多くの企業がリモートワークを可能にするために公開ファイルサーバー上に社内データを置いていることがわかりました。もちろん新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、事業継続のために行っていることは理解できます。しかし、1年が経過した今でもファイルサーバーは公開されたままなのです。また、これらのデータを保護するために用いられているのは、ユーザー名とパスワードのみというケースも珍しくはありません。

 2つ目に挙げられるのは、医療機関による新型コロナウイルス感染症の治療やワクチンの開発に関連する変化です。各企業でワクチン開発が始まるとともに、その研究情報や成果を窃取しようとする国家主体のサイバー攻撃が観測されています。ただし、実際に窃取された研究情報がどのように活用されたかはわかっていません。どこから攻撃が行われ、背後にどのような国家の存在があったのかも明らかになっていませんが、ワクチン開発の情報を国家主導で盗もうとしている動きがあることは事実なのです。

 そして3つ目は、従来のランサムウェア攻撃を1.0と定義したとき、「ランサムウエア 2.0」と呼ぶべき手法に変化していることです。特に気を付けるべきは、病院や医療研究所も狙われている点です。これまでのランサムウェアは、暗号化したデータの復号方法と引き換えに身代金を要求してきました。 しかし、ランサムウェア2.0では身代金の要求が拒否された場合、窃取したデータを外部に暴露すると脅すようになったのです。

呼びかけに対するCL0Pからの反応
呼びかけに対するCL0Pからの反応
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 私は昨年の3月18日、Twitterで犯罪グループに対して、医療機関をランサムウェアの攻撃対象から外すよう依頼していました。そうすると、7~8つの犯罪グループから返信が来たのです。返信の中には病院を標的にしないと宣言するものもありましたが、約束を信頼することはできないため、その動向について注意しなければなりません。また、このような犯罪グループは、過去1年間の間に多くの収益をあげています。たとえば、メイズという犯罪グループは、既に莫大な稼ぎを得ており、昨年引退すると宣言しているのです。

Mazeは解散を宣言している

Mazeは解散を宣言している
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「ランサムウェア 2.0」への変化と対策

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/14004 2021/03/04 08:00

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