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チューリング、ノイマン、EDVAC… コンピュータの基礎からDXを考える

edited by DB Online   2021/05/21 10:00

スマホが当たり前の時代だからこそ“STEM”が必要

 さて、皆さんが生まれたときからコンピュータの仕組みは大きく進化していないにも関わらず、ITベンダーで製品を売ったりIT部門で企業システムを導入したりする仕事に就いている人たちの中にも、いまだにITやデジタルの技術の話に苦手意識をもっている人は多いのではないでしょうか。

 ユーザー企業のIT部門でも、製品技術をよく理解しないままにシステム導入を進めてしまっているケースが見受けられます。その結果、ITで競合を出し抜くというより、“当たり前IT”になってしまってはいないでしょうか。システムを提案するITベンダーが技術を理解して価値提案できていないというのも問題ですが、導入を検討するIT部門に自社の競争優位につながるITの可能性を追求するだけの知識がないのも残念なことです。

 私は今一度、デジタルの世界にいる方は、基本的なアーキテクチャを勉強することをお勧めします。それによって、テクノロジーを恐れることなく、ビジネスとどう融合させるかとか、近い将来に備えることができます。

 ただ、この安定したノイマン型コンピュータ時代がいつまで続くかは、分かりません。まったく異なるアーキテクチャである量子コンピュータが実用化されてきたので、どこかの時点でビッグバンが起きるかもしれません。いや、起こさないといけないでしょうね。

 そのためには、情報の教育も見直すことが必要なのかもしれません。今の日本の情報の教育は、現在のテクノロジーに慣れることや活用を主軸にしているように思えます。それはでも、利用という観点では、高校生、大学生がスマフォでなんでもやっているように、わざわざ教育するほどのことでもない気がします。スマフォも、ノイマン型コンピュータの1種です。デジタル・ネイティブの若者によっては利用という点では、それほど難しくないと証明していると思います。それに、せっかくプログラミングに興味をもっても、大学や大学院での研究の受け皿が乏しく、社会人になっても発注の先の先にいるプログラマーの待遇がよくないという現実が待っています。もちろん、デジタルを活用した教育環境は、整える必要はあると思います。

 一方で欧米の教育を見てみますと、STEM(ステム)という軸で強化されています。

 STEMとは

  • S:Science
  • T:Technology
  • E:Engineering
  • M:Mathematics

 それぞれの頭文字を取った言葉で、科学・技術・工学・数学の教育分野を総称した言葉です。この4つの分野の教育を一貫して提供して、IT社会とグローバル社会に適応した国際競争力を持った人材を多く生み出そうとしています。なんか小手先感がないですね。

 そして、企業の欧米のIT部門には、アーキテクトやデベロッパーがいます。彼らがアジャイルを駆使して、ビジネスに直結するシステムを作り上げ、磨いていくのです。なんか、社会まで、一気通貫している気がします。DXも推進できるわけです。

 今の小学生1年が、社会に出たときに、テクノロジーがどのように進化するかを予見して、STEMのような基礎の教育を一貫して提供していくことが求められるのではないかと思う今日この頃です。私の2歳になった双子の孫の未来が明るくなることを祈ります。



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著者プロフィール

  • 北川裕康(キタガワヒロヤス)

    クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウェア技術者。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、日々格闘中。

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