日本にはチーフ・データ・オフィサーもデジタル・オフィサーも極めて少ない

先進的な米国企業ではチーフ・データ・オフィサーが既に何年も働いており、別途チーフ・デジタル・オフィサーも置きデジタル変革に取り組んでいる。それぞれの役割を明確化することで、デジタル変革の取り組みはさらに加速できるはずだ。
一方日本では、権限と予算を併せ持ち、実行力あるチーフ・データ・オフィサーやデジタル・オフィサーがいる企業は少ない。いや、ほとんどないのが現状だ。実際、「平成30年版 情報通信白書」の「CIO・CDO等の設置による組織改革の進展状況」によると、2018年の総務省の調査ではチーフ・データ・オフィサーがいると回答した企業は、日本に5%しかいなかった。さらにDell Technologiesの「第1回 デジタルトランスフォーメーション(DX)動向調査」でも、2019年も5.6%と同様にかなり少ない。
また2020年のQlikとIDCによる「リーダーシップ調査による変革データ」の調査結果を見ると、日本企業においてデータアナリティクス・プロジェクトが目標を達成できなかった理由は、データの質が十分ではなかったとの回答が40%、分析に必要なデータがタイムリーに得られなかったが35%、分析に不備があったが30%、アナリストにはデータをプロセスと突き合わせて理解する専門知識がなかったが28%と続く。これはつまり、チーフ・データ・オフィサーが企業にいないがために、彼が担うべきデータの整備やデータ分析環境のサービス化が進んでおらず、結果としてデータアナリティクスのプロジェクトがスムースに進んでいないとも捉えられる。
この状況を日本のビジネスリーダーも、徐々には理解している。日本の31%のビジネスリーダーが、同じく「リーダーシップ調査による変革データ」の調査では、今後1年間のデータ投資において最も注力すべきはデータのマネージメントとガバナンス体制の構築であると回答している。当然ながらこの体制を実現するには、データを整備しそれを活用できるようにすることをリードする、チーフ・データ・オフィサーが必要となるはずだ。