世界的な不況の中で、IT投資は停滞しがち。しかし、やがて来る春に備えて積極的に基礎体力をつけておくことが、トップランナーの条件だ。
春になれば、桜は美しく咲く
世界的な不況が様々な産業に、生活の場面に深刻な影響を及ぼしている。米国や中国の不況を受けて、元気であったはずの北欧も経済が減速している。世界が一つに結ばれている時代、相互の影響を受けるのは当然で、いずれの国家も全般的な不況のなかからなかなか抜け出せないというのが実情だろう。
しかし、春が来ないということはない。問題はその春が来るまでの厳しい状況をしっかりと生き抜くこと、そして春が来たときにはいち早くトップランナーになることである。そのためには、厳しい冬の時代にこそ基礎体力をつけて、強靭な体制、インフラを整備しておく必要がある。
走り続けていた時にはできなかったインフラの整備はこの不況の時期だからこそ、時間をかけてコンセンサスを確保しながら作り変えてゆくことができるのだ。
厳しい時代にしかできないこと
従来、システムの移行は、大型連休を狙って行ってきた。また、大掛かりなものは毎月指定の休日を利用して長期間かけて対応してきた。営業日に、事業活動が活発に行われているときには、営業に追われシステムに触ることなど絶対にできないのだから、こうした特別な時期に実施するわけだ。インフラの改善や構築はそれこそ基礎からの見直しですから簡単ではない。全力疾走を続け、それも生存をかけた競争の最中にシステムの改善やインフラの再構築など不可能だ。
次の春になったら、ある程度の余裕はできるかもしれないが、そのときは、時既に遅し、インフラの再構築などにはとても着工できない。その結果、ポンコツ車で走ることになり、新手の企業に追い抜かれ、回復できない大きな差をつけられ、淘汰されることにもなるのである。
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牧野 二郎(マキノ ジロウ)
牧野総合法律事務所 弁護士。1995年にインターネットに出会い、翌年、ホームページ「Internet Lawyer 法律相談室」を開設して話題になる。 制度整備を通して、情報社会のあり方、自己実現の方法など、積極的な係わりを提言している。日弁連情報問題対策委員会委員。文書の電磁的保存等に関する検討委...
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