アメリカ、カナダ、スペイン、シンガポール、フィンランド、台湾ほか、世界各国の政府など、クリティカルな情報を保持する組織に多くの顧客を持つエントラスト。 日本への進出から10年、セキュリティベンダーとして、黎明期から今に至るまでの日本企業のネット戦略の変遷を見つめてきた。 欧米と日本、10年前と現在、はたして日本企業のセキュリティ意識はどのように変化したのか、あるいは変化していないのか。 エントラストジャパン株式会社 代表取締役社長の保坂真氏にお話をうかがった
ネット環境はもはやインフラ安全が当然の社会を目指して
-御社のソリューションを採用している団体には、数十カ国の政府や公的機関などが多く、堅実な企業というイメージがあります。
保坂 ありがとうございます。アメリカやスペイン、カナダなどの政府が当社のセキュリティソフトを導入しており、当社のソリューションがePassport(IC旅券)や全国民のIDとして使用されています。あまり知られていないかもしれませんが、実は米国国務省やNASAが導入しているセキュリティシステムもエントラストのものなのです。しかし、ある意味、「あまり知られていない」というのは、セキュリティベンダーとしては、ごく自然な世の中の評価なのではないかと思っています。

私たちの提供するセキュリティソリューションは、PKI、シングルサインオン、認証強化、不正行為検出、Eメールセキュリティなど多岐に渡っています。信頼できるセキュリティを少ないコストで、かつ1社で提供できるのも弊社のメリットの1つです。その根底には「お客様の大切なIDと情報を保護する」というコンセプトがあります。縁の下の力持ち的存在のため、使用されているお客様には、当社ソリューションと意識せずに使用いただいているのではないかと考えています。
-デジタルの知識に明るくない人々も問題なく使えるように、インフラとしては「トラブルがなくて当たり前」といったレベルが求められるのでしょうね。
まさにその通りです。身近な例をあげてみましょう。たとえば水道。毎日、蛇口をひねって水が出てくれば水道管のメーカーがどこなのかといった問題には誰も興味を持ちませんよね。我々の提供しているデジタルセキュリティも同じようなものだと思うのです。
-日本での活動はいかがですか。
日本市場には10年前からサービスを提供しています。各商品分野にコンペティターがいるものの、トータルで提供できるのはエントラストだけです。そうした総合力や技術力もあって、実際にご利用いただいているお客様、特に日本では金融業界をはじめとする大企業の情報セキュリティ部門を統括される方々には、広く認知されています。
また、「トラブルがないのに保守料が必要なのか」と揶揄されることもあるほどサービスのホスピタリティは定評があります(笑)。一般的な知名度は低くとも、当事者であるお客様方には厚い信頼をいただいていると自負しています。
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保坂 真(ホサカ マコト)
1961年生まれ。
2002年4月、エントラストジャパン株式会社に技術部部長として入社。3年半に渡り、日本の技術部門の責任者としてリーダーシップを発揮。日本でのサポート組織の基盤を築き、開発サポート拠点であるカナダのオタワオフィスとのリレーションをより強固なものにする等、さまざまな功績を収めた。2005年...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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