1stパーティの顧客データ活用のためのCDP
2020年以前は、GDPRなどの施行で個人情報の取り扱いの規制が大きく進んだ。それ以降、3rdパーティクッキーやモバイルIDが利用できなくなっており、マーケティング担当者にとっては厳しい時代になっている。そしてこのような変化の中、改めて注目を集めているのがCDP(Customer Data Platform)だ。「マーケティングテクノロジーの領域では、CDPが中心的な存在になっています」と、米国セールスフォース・ドットコム Marketing Cloud戦略担当シニアバイスプレジデントのマーティン・カイン氏は言う。
ここで言うCDPは、自社Webサイトなどでの顧客行動など、1stパーティの顧客情報を整理し蓄積して活用できるようにするものだ。これまでオンラインにおけるマーケティング活動では、3rdパーティクッキーや仮名化されたIDなどのデータを用い、Webサイトの閲覧履歴などの行動に基づく動的な広告表示やパーソナライズを施したサイトの表示などを実施してきた。
これに加え、Salesforceが得意としてきた顧客プロファイルの情報を活用するCRMの領域はある。現状ではこれら2つをつなぎ合わせて、さまざまなマーケティング活動が行われている。仮名化したデータとプロファイルを結び付けるには、顧客の同意を得た上で複雑な仕組みを介し2つの領域を連携することとなる。
ところが、今後は3rdパーティクッキーや仮名化したモバイルIDなどが使えなくなる。そのため、CRM領域で顧客の同意の下に蓄積、管理してきた1stパーティの個人の情報を中心に、マーケターは広告メディアなどを活用しなければならない。つまり、この変化に対応する際に重要な役割を担うのがCDPだ。
CDPについては、「データのグラビティ(重力)で、データが他のデータを引き寄せることになります。つまりより多くのデータを持っているところが、より顧客とのエンゲージメントを高められ、さらにデータがそこに集まります」とカイン氏。充実したCDPを構築し活用できるようにすることで、顧客とのエンゲージメントを高められる。そういった優良で多くのデータを持つCDPには、さらにデータが集まり、それがビジネスにおける競争優位性にもつながる。