米国はAI導入が鈍化、日本は活用に課題
PwC Japanグループが実施する「AI予測調査日本版」は2020年から年単位で作られ、今回は3回目となる。Webを介して収集されたアンケート調査の概要は次のとおり。
日本
- 調査実施時期:2022年1月
- 回答者数:300人
- 対象:AI導入済みまたは導入検討中で、売上高500億円以上の企業の部長職以上
米国
- 調査実施時期:2022年1月
- 回答者数:1,000人
- 対象:AI導入済みまたは導入検討中で、売上高5億米ドル以上の企業の幹部
登壇したPwCコンサルティング パートナーでPwC Japanグループ データ&アナリティクス/AI Lab リーダーの中山裕之氏はイベントの冒頭、主な結果を紹介した。
まず、日本企業のAI導入状況では、2020年の27%、2021年の43%に対して、2022年は53%と10ポイント上昇した。この2年でAI活用が急速に高まってきたことがわかる。その背景として中山氏は「経済産業省がDXレポートを出したことで、企業が取り組みを開始したということが言えると思います。ファーストペンギンが飛び込んだ後にフォロワーがたくさん動き出す、といった日本の企業の特徴を表していると推察します」と語った。
一方で米国の場合は、2021年の58%に対して2022年は55%と、この1年での進展はあまり見られない状況となっているという。この状況の背景には2つの仮説があり、1つは米国といえどもすべての企業が先進的ではないこと、もう1つは新型コロナウイルスなどの影響によって、短期的に結果が出ないプロジェクトへの投資が停止してしまっていることが推測されるとした。
導入状況で米国に追いついた日本であるが、全社展開については米国の26%に対して日本は13%と、組織内での浸透度にはまだまだ差がある状況だ。
今回の調査では1年先の売上予測に関する質問もあり、AI導入企業の55%が増加(17%が減少)を見込んでおり、未導入企業の49%が減少(27%が増加)を見込む結果になったという。
中山氏は「AIの活用がビジネスに貢献していることが見てとれます。私どもは日本企業がAIを活用してよりビジネスを大きくしていくことを支援していきたいと考えており、そこに大きな期待を寄せている次第です」とコメント。