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heartbeatによるクラスタシステムへのリソースの追加と監視の仕組み

第3回

 前回は、クラスタシステムを構成するためのハードウェアの構成と、heartbeatのインストールについて解説しました。今回は、クラスタシステムを構成するために必要な仮想IPアドレスの設定を題材として、クラスタシステムへのリソースの追加と監視の仕組みについて解説します。

リソースの設定

 heartbeatで管理するクラスタシステムのリソースは、/etc/ha.d/haresourcesファイルに次のような書式で設定します。

/etc/ha.d/haresourceの書式
<稼動系サーバ名>	リソース1 リソース2...

 ここで設定するリソースとは、いわゆるサービス制御スクリプトの名称です。heartbeatは、リソース用のスクリプトを/etc/ha.d/resource.d/および/etc/init.d/から探します。heartbeatは、サービスを起動するときには、このファイルに記載されたスクリプトを左から順に、引数にstartを付加して実行します。サービスを停止する場合には、右から順にスクリプトの引数にstopを付加して実行します。

 次の表は、heartbeatのインストールに伴ってインストールされるheartbeat専用リソースの一覧です。

主なheartbeat専用リソース
リソース名 役割
IPAddr <IPAddr> </MASK> 仮想IPアドレスを設定します。
Filesystem <DEV> <DIR> <TYPE> <OPTION> デバイス<DEV>をファイルシステムタイプ<TYPE>として、<DIR>にマウントします。
MailTo <Addr> <Subject> 指定したメールアドレスにメールを送ります。
Xinetd <Name> xinetdのサービス<Name>を有効にします。

仮想IPアドレスの設定

 クラスタシステムでは、稼動系のシステムが停止した場合には、待機系でサービスを引き継ぎます。heartbeatでは、このサービスの切り替えのために、稼動系で利用していたIPアドレスを待機系で引き継ぐように設定することができます。各サーバには、サーバ管理のために個別のIPアドレスが必要ですので、この引継ぎを行うIPアドレスはサーバ本体のIPアドレスとは別に設定を行います。このIPアドレスは、物理サーバに付与されたアドレスではなく、サービス用に付与されたIPアドレスですので、仮想IPアドレスと呼びます。

仮想IPアドレスの設定
仮想IPアドレスの設定

 リソースとして仮想IPアドレスを設定する場合には、IPaddrを使って次のように設定します。

/etc/ha.d/haresource (cluster1, cluster2)
cluster1	IPaddr::192.168.10.5/24

 IPaddrスクリプトには、引数としてIPアドレスを設定します。引数は、この例のように「::」区切りで設定します。このように設定すると、サービスが稼動・停止するときには、次のようにスクリプトが実行されます。

# IPaddr 192.168.10.5/24 start		← 稼動
# IPaddr 192.168.10.5/24 stop ← 停止

次のページ
仮想IPアドレスの切り替えの確認

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この記事の著者

デージーネット 恒川 裕康(デージーネット ツネカワ ヒロヤス)

株式会社デージーネット 代表取締役。「より安全で」、「より快適で」、「より楽しい」インターネットの実現をテーマとして、クラスタシステムを使った高信頼サーバの構築、SPAM対策やウイルスチェック対策のためのソフトウェアの開発、携帯サイト向けのシステム開発など、オープンソースソフトウェアを活用した事業を展開して...

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