SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

止まらないシステムはLinuxで作る!~オープンソースを活用したHAサーバ構築入門

heartbeatのインストールと起動方法

第2回

 Linuxでクラスタリングを実現する方法はいくつかありますが、ここでは「heartbeat」を使ったアクティブ・スタンバイクラスタを構成する方法について解説していきます。今回はインストールと起動方法です。

はじめに

 Linuxでクラスタリングを実現したいという要望は根強く、様々なコミュニティやプロジェクトでクラスタリング用の技術が開発されてきました。「heartbeat」はそのようなソフトウェアの一つです。The High Availability Linux Projectが開発したもので、アクティブ・スタンバイクラスタを提供する基本的な機能を提供します。今回は、heartbeat導入の概要とインストールについて解説します。

heartbeatの概要

 heartbeatは、クラスタリングを実現するためのソフトウェアで、次のような機能を提供します。

クラスタリングの機能
機能 説明
(1)フェールオーバーとフェールバック 2つのノードで1つのクラスタリングシステムを構成します。フェールオーバーとフェールバックの仕組みを提供します。
(2)稼動監視 サーバ間で、ハートビートと呼ばれる定期的なデータ交換を行うことで、システムの稼動監視を行います。相手サーバからの応答がなくなると、フェールオーバーを行います。
(3)共有リソース管理 仮想IPアドレスやサービスなどの、クラスタシステム全体で共有すべきリソースを管理し、フェールオーバー時にサービスを切り替えるための仕組みを提供します。
(4)サービス監視 サービスの稼動状態を管理するための機能を提供します。

 本コーナーでは、heartbeatを使ってアクティブ・スタンバイクラスタを構成する方法について解説しますが、heartbeatは稼動系のサーバにも、待機系のサーバにもインストールする必要があります。

サーバの要件

 heartbeatでは、ホスト間の稼動監視を行うためのネットワークを、通常のネットワークとは別にしておくことが推奨されています。また、さらに監視用ネットワークの障害でシステムが誤動作するのを防ぐために、2つ以上の監視ネットワークを設定することが推奨されています。

 また、できるだけ安価にシステムを構築できるようにするため、2本目の監視用ネットワークにはLANインタフェースではなく、シリアルインタフェースを利用することができるようになっています。サーバ間をシリアルケーブルで接続する場合には、通常のモデム用ケーブル(ストレートケーブル)ではなくて、クロスケーブルを使用します。

 各LANインタフェースには、あらかじめ次の要件にしたがってネットワーク設定を行っておく必要があります。

  • 外部のサービス用のネットワークには、通常通りのIPアドレスを設定する。
  • 監視用のLANインタフェースには、監視用の専用のネットワークを作成し、設定する。
  • 監視用のLANインタフェースには、iptablesなどのパケットフィルタリングを実施しない。

 図1は、このようなサーバの構成とネットワークアドレスの例です。本連載ではこの図に記載されたIPアドレスを使って設定を行っていきます。

図1 サーバの構成とネットワークアドレスの例
図1 サーバの構成とネットワークアドレスの例

heartbeatの入手

 heartbeatは、SuSE Linux 10Fedora 7などではパッケージで提供されています。これらのディストリビューションを使ってサーバを構築する場合には、このパッケージを利用することができます。それ以外のディストリビューションで利用する場合や、最新のバージョンを利用する場合には、ソースコードを入手してコンパイルする必要があります。

 heartbeatは、The High Availability Linux Projectのサイトからダウンロードすることができます。このページは、若干分かりにくいですが、ページ右側のメニューに“Download Software”というリンクがあります。本連載の執筆時点での最新版は2.1.2でしたので、本連載ではheartbeat-2.1.2.tar.gzを使って解説を行います。

 また、heartbeatでは、「libnet」というライブラリを使います。libnetは、The Packetfactoryのホームページで配布されていますのでこちらも入手する必要があります。

 本連載の執筆時点での最新安定バージョンは1.1.2.1ですので、このバージョンで解説を行います。

次のページ
準備

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
止まらないシステムはLinuxで作る!~オープンソースを活用したHAサーバ構築入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

デージーネット 恒川 裕康(デージーネット ツネカワ ヒロヤス)

株式会社デージーネット 代表取締役。「より安全で」、「より快適で」、「より楽しい」インターネットの実現をテーマとして、クラスタシステムを使った高信頼サーバの構築、SPAM対策やウイルスチェック対策のためのソフトウェアの開発、携帯サイト向けのシステム開発など、オープンソースソフトウェアを活用した事業を展開して...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/106 2007/08/31 17:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング