
米国企業などと比べるとまだ数は少ないものの、日本でもデータ活用やデジタル戦略を統括するCDO(Chief Data Officer:最高データ責任者)を設ける企業が徐々に増えてきました。しかし、データ活用を企業全体、ひいては社会全体に普及させていくにはデータ活用のアプローチを表面的に変えるだけではなかなか難しいとも言えます。今回は2022年1月に、SaaS型のデータ分析ツールで高いシェアを誇るDomoのCDOに就任したモハメド・アーサー(Mohammed Aaser)氏に、企業のデジタル戦略を指揮するCDO、そして同社が新たな役職として提唱している「データアンバサダー」の役割について話をうかがいました。
McKinsey時代に出会った「Domo」に驚き
──まずはアーサーさんの経歴を教えていただけますか。今年1月にDomoのCDOに就任されたと聞いていますが、Domoに入社されるまでの経緯についても教えてください。
私はこの15年ほどずっと、データアナリティクスに関わる仕事をしてきました。Domoに入る前は「McKinsey & Company(以下、McKinsey)」でデータアナリティクスに関わる部門を立ち上げ、そこで企業のマネージャなどにデータの扱い方をトレーニングしてきました。その後はいったんMcKinseyを離れ、「Ameriprise Financial」という金融サービス企業でアナリティクス部門のエグゼクティブとして、200万人の顧客データを戦略的に扱いながら同社のウェルスマネジメント事業に関わってきた経験をもちます。
2018年に再びMcKinseyに戻り、CDOとしてデータアセットやデータプロダクトの扱い方を様々な部門に教えながら全社的なデータ戦略を指揮してきたほか、様々な業界の顧客に対してデータをビジネスで活用するための施策をコンサルしてきました。特にコロナ禍に入ってからは、消費者の行動に関するインサイトをデータから求めようとする企業が増えましたが、そうした流れを捉える方法をアドバイスすることも多かったですね。

Domoという会社を知ったのはちょうどMcKinseyに戻ってからです。McKinseyでは様々なデータ分析ツールを使っていたのですが、Domoはその一つで、とにかくデータアセットを非常に速く使えることに驚きました。
実は、McKinseyに戻るまではDomoのことはあまり知らなかったのです。Domoに移籍した友人の1人が前職でDomoを使い始めていて「これはただのBIツールじゃない! ワンプラットフォームですべてのデータを扱えるすごいものだ」と強く勧められました。はじめは半信半疑だったのですが、使い始めるとたしかに彼の言う通りでしたね。
データの接続や統合、保存、可視化、APIベースの連携、アプリケーション開発、AIとの親和性など、一般的なBIツールの範疇を超えていたのです。McKinseyでもDomoを採用してから数多くのイノベーションが実現するのを目の当たりにしてきましたが、そのイノベーションを起こすスピードがとにかく速い。そうした経緯からDomoに興味をもち、結果的にCDOとして入社することになりました。
──DomoのCDOとして、アーサーさんは現在、どんな業務に取り組まれているのでしょうか。
私のDomoでのミッションは大きく2つあります。一つは、Domoのユーザーがよりハイレベルなデータ体験を得られるよう支援していくことです。ユーザーがデータにもとづいたデジタル戦略を推進し、より多くのイノベーションをより速く起こせるよう、データ活用のスキルとマインドセットをトレーニングしていく。その責任をDomoを代表する「データアンバサダー」として担っています。
もう一つのミッションは、Domo自身をより高いレベルのデータ企業へと成長させることです。そのためにはDomoを構成する多くの従業員のデータスキルを上げ、データに対して正しいマインドセットで臨めるデータアンバサダーを育成していく必要があります。Domo自身がデータをより良く扱えるようになれば、その成果は必ずユーザーを支援していくうえで大きな力となるはずです。
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五味明子(ゴミ アキコ)
IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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