米HashiCorpは、年次イベント「HashiConf Global」にて、クラウド、インフラストラクチャ、サービスの一貫したプロビジョニングおよび管理をサポートする「HashiCorp Terraform」の機能強化について発表した。
主な発表内容は以下のとおり。
- Terraform Cloud Business向けの継続的バリデーション(ベータ版)
- Terraform Cloud Business向けのノーコードプロビジョニング(ベータ版)
- Terraform Cloud向けのマネージドOpen Policy Agent(OPA)(ベータ版)
- Terraform 1.3の一般提供
また、基調講演では詳細に説明されなかったAzure Provider Automation、Terraform Plugin Frameworkのベータ版サポート、ServiceNow Service Graphとの統合などの新機能についても紹介している。
Terraformがクラウドの新たな課題に取り組む
クラウドへの移行にともない、企業はインフラストラクチャの自動化を導入してクラウドリソースのプロビジョニングと管理を行うようになった。企業が成長するにつれ、コードの健全性や可視性の維持、非効率な手動のワークフローの処理、セキュリティやコンプライアンス関連の問題の低減といった課題が生じるという。
マルチクラウド環境でのインフラストラクチャのプロビジョニングと管理には、異種のワークフローやインフラストラクチャの管理、サイロ化されたチームの処理、スキルの不足への対応といった課題があるとのこと。発表されたTerraformの機能強化は、ユーザーや企業がマルチクラウドでインフラストラクチャの自動化を標準化する際に直面する問題への対応において、役立つとしている。
ドリフトの検出から継続的バリデーションまで
インフラストラクチャのプロビジョニング後、リソースの状態が、記録されている望ましい状態や健全性を反映することが困難になる場合があるという。アプリケーションのビジネスロジックで使用されるものすべてに関して、プロビジョニングの段階でうまく機能したとしても、それがデプロイ後にも引き続き適切に機能するとは限らないという。
継続的バリデーションは、HashiConf Globalの2日目に発表されたインフラストラクチャ管理の次のステップで、インフラストラクチャのチェック対象を構成のドリフトから拡大するものだという。ユーザーは、Terraformの構成やモジュールに事前または事後の条件を記述してアサーションを追加でき、アサーションを設定した構成やモジュールが合格しているかの継続的なチェックが可能。問題がある場合は、Terraformからユーザーに通知が送信されるため、リスク、ダウンタイム、コストを最低限に抑えられるとしている。
ノーコードプロビジョニングでスキルのギャップに対応
HashiCorpが発表した「2022 HashiCorp State of Cloud Strategy Survey(クラウド戦略実態レポート)」の調査では、技術者や意思決定者にとって、スキル不足がマルチクラウドの最大の障壁であるということがわかった。従来は、何かをプロビジョニングしてそれをTerraformで使用可能にするには、インフラストラクチャやネットワークの知識に加え、HashiCorp Configuration Language(HCL)に関するスキルが必要であったため、これが導入の障害となることがあったという。
Terraform CloudおよびTerraform Enterprise向けのプライベートレジストリの導入により、企業全体で再利用可能な、検証済み、承認済みのモジュールを公開できるようになったとのこと。しかしながら、このレベルのセルフサービスには限界があり、開発者は、コンテンツに基づいたモジュールの選択、バージョン管理リポジトリへの追加、Terraform Cloudでのワークスペースの作成、モジュールのプロビジョニングを行う必要があるとしている。
ノーコードプロビジョニングでは、管理者やモジュールパブリッシャーは、ノーコード対応モジュールのカタログを管理し、アプリケーション開発者などのユーザーがワークスペースに直接デプロイできるようにすることが可能。開発者は、Terraformプライベートレジストリからインフラストラクチャをセルフサービスで開発できるとしている。プラットフォームチームは、繰り返し発生する社内のリクエストに対応する時間を削減できるため、本来の作業に時間を使い、イノベーションを推進するという。
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