DX実現のために重要な「データドリブン経営」
近年、急速な社会環境の変化や加速するデジタルテクノロジー、それらにともなう消費者ニーズの多様化など、ビジネス環境は激動的に変化している。企業がその変化に追従するためには、「DX」という言葉を一時的なバズワードではなく、実現しなければならない必須テーマとして捉えるべきと感じている。
これからのビジネス環境下では、デジタルを活用することで新たなビジネス価値を創出し競争優位性を確立しなければならず、その実現のためにはデータドリブン経営が必須の取り組みと言える。
つまり、データドリブン経営とは、企業が得られるさまざまなデータをビジネスの根源として駆使することで、正しい意思決定に導くことである。
ビジネスの世界では、ヒト・モノ・カネと並んで「情報(データ)」も重要な資産とされているが、本質的には情報(データ)によって、ビジネスのモノゴトが動いていると言える。ビジネスに必要となる情報をデータとして正しく管理し、なおかつそのデータを有効的に利用できれば、ビジネスそのものを動かすことと等しいと言える状況になる。
たとえば、ビジネスにおける情報の流れを見ると、マーケティングや営業活動などを経て、顧客から注文(店舗窓口、インターネット注文、電話など)を受け、契約行為と支払(現金、売掛など)によって顧客へサービス(価値)を提供する。そのサービス提供のために消費されたリソース(働いているヒト、仕入れたモノ、製造・加工、場所などの環境、それらに関わる間接費用など)と突き合わせることで損益情報(売上、費用、利益など)が管理されている。
これらのビジネス情報がすべてデータ化(デジタル化)されていれば、ビジネスにおけるすべてのモノ・コトが事実として容易に詳細把握でき、なおかつそのデータを正しいロジック(モデル)で分析することで、今後のビジネス予測(経営予測、マーケティングなど)につなげることができる。さらに、別の角度のデータを組み合わせることで新たな洞察を得ることが可能となり、その結果、新たなサービスや商品の提供、今までと異なったイノベーティブなビジネスを生み出すことができるようになる。
デジタルテクノロジーやシステムにより生み出されたデータが、正しい形で活用されることで、以下のようなことが実現する。
- 顧客データ分析・活用によるCX(顧客体験)向上
- プロセスの自動化による業務改革
- さまざまな事実データや予測データによる意思決定の高度化……など
これらのデータ活用による改善・向上、高度化などの実現の積み重ねがデータドリブン経営となり、これをどのように実現していくのかが大きなポイントになる(図1)。