国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)は、短距離光通信の大容量化のため、簡易な装置構成の光コヒーレント伝送方式を開発し、高速光信号伝送に成功したと発表した。
急激な通信量の増加に対応するため、近年はデータセンター内ネットワーク等の短距離光通信においても、基幹系光通信で実用化されている光コヒーレント伝送方式による大容量化が期待されている。
今回、短距離光通信に光コヒーレント伝送方式を適用するため、簡易的な装置構成で信号再生可能な自己ホモダイン検波方式を採用。NICTの独自技術により本方式の光送受信器を高度化し、毎秒360ギガビット(シンボルレート90ギガBaud)の16QAM信号の高速光コヒーレント伝送に成功したという。
今回の成果としては、次世代基幹系光通信で研究中のシンボルレートが高い光コヒーレント伝送方式が、簡易な送受信器構成で安価に導入できる可能性を示しており、将来のデータセンター内ネットワークなどに要求されるテラビット級の大容量短距離光通信に向けた革新的技術になることが期待されている。
NICTは今後、今回開発した高速光コヒーレント伝送方式と波長多重技術や空間多重技術を組み合わせることにより、毎秒10テラビットを超えるテラビット級短距離光通信技術を確立していくとしている。
【関連記事】
・野村HDと野村證券、NICT、東芝、NECの5者が量子暗号技術を用いた検証実験に成功
・NECが新たな顔認証ソフトウェアを販売開始 AIによる不正入室防止のほか、通信障害でも継続運用可能
・東芝インフラシステムズら、首都高速でローカル5Gの無線通信エリア構築の共同研究を開始