富士通と帝国データバンク(以下、TDB)は、今年4月から9月まで6ヵ月間実施した 「日本版eシール(以下、eシール)」の社会実装に向けた実証実験結果を公表した。
これは富士通のトラストサービス「Fujitsu Computing as a Service Data e-TRUST(以下、Data e-TRUST)」とTDBの保有する企業の存在証明に関するナレッジ、およびBOX Japanが提供するコンテンツクラウド「Box」を連携させ、「eシール」を活用するサービスモデル(プロトタイプ)を構築したもの。
この実証実験では、実業務で想定される法人組織間でのデジタル文書の受け渡しにおいて、「Box」を利用した文書の受け渡しを行う際に「eシール」の付与、および検証の操作を行うことで、「eシール」利用の有用性を確認したという。
「eシール」発行と検証のプロセス
- 「eシール」証明書発行:「eシール」を利用したい法人Aは、「Box」と連携された「Data e-TRUST」およびTDBが事前に法人の実在性を確認して発行した「信頼できる法人アカウント」により、「eシール」用証明書を取得する
- 「eシール」付与:法人アカウントを取得した法人Aは、「Box」で受け渡しを行いたいデジタル文書へ「eシール」付与を申請すると、「Box」と連携している「Data e-TRUST」より「eシール」が付与される
- 「eシール」の検証:法人Aは「eシール」が付与された文書を、別環境の「Box」を利用して、法人Bへ受け渡す。「Data e-TRUST」および「eシール」により、その文書の発行元の検証を行う
実証では、「eシール」を利用することによる有用性が確認できたほか、「eシール」を活用、社会普及させていくために必要となるユーザビリティへの考慮事項や、導入を促進するための仕組みについての課題や検討事項の抽出を行うことができたという。
両社は今後、課題や検討事項、および社会実装に向け、開かれた形での利用が可能なサービスモデルの検討と実装を、民間企業の協力先とともに拡張実施を行っていくとのことだ。
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