2015年に始まった塩野義製薬の挑戦
──最初に経歴や現在の役職に就いた経緯などから教えて下さい。
北西:学生時代は化学専攻だったのですが、新卒で塩野義製薬に入社し、長く臨床統計の業務に従事してきました。その仕事を通して統計解析のプログラミングに触れ、2020年3月までは解析センターの所属でした。2020年4月から、解析センターからスピンオフする形でデータサイエンス室ができ、そのタイミングで室長に就任しました。これに伴い、解析のフィールドも臨床統計からコーポレートのデータサイエンスに拡大しました。とは言え、これまでも他の部署の解析を手伝う機会がありましたし、リアルワールドデータの解析もやっていたので、自然な流れだったと思います。そして2021年7月のDX推進部の立ち上げと同時に、その下にデータサイエンス部ができ、データエンジニアが私たちのチームに合流し、社内のデータ整備と活用を1つの部署でやるように変わりました。
木口:2014年に新卒での入社になります。元々データサイエンスを専攻していたため、解析センターの配属になりました。入社前から事前知識を持っていたわけではありませんが、実地で臨床統計を中心に経験を積み、現在はデータサイエンス部で主に疾患に関するデータサイエンスの仕事に携わっています。
──DX推進部ができたことで、データサイエンス部の仕事に変化はありましたか。
北西:DXの解釈は人それぞれで違っているようですが、私自身はDXとはサイエンスの考え方で実践するべきだと考えています。ITシステムが出力するデータをいかにうまく活用できるか。単純にツールを入れただけでは、局所的な最適化はできても、会社横断的な事業シナジーを作り出すまでには至らない。ではデータを何に使うのか。可視化から始まり、観察して、仮説を作り、実験をして、検証して、行動に移す。その鍵はデータを見ながら仮説を立てて、検証する。仮説が正しいと実証できれば、行動に移して横連携を進めていくことにあります。それを実践できれば、結果的にDXを実現することになると思います。
──「AI SASプログラマシステム」の成果を外部に販売しようとする前に、社内での取り組みがあったと思います。それはいつから始まったことなのでしょうか。
木口:テスト検証が始まったのが2015年からで、最初の実証実験を2017年、2回目の検証を2018年に実施し、目標を達成したのでプロジェクト完了となりました。