顧客の要望に応じ「できたてほやほやのサーバー」を届ける
デル・テクノロジーズ 執行役員 副社長 データセンター ソリューションズ事業統括の松本光吉氏が、デル・テクノロジーズでx86サーバーのビジネスに携わったのは6年前。そこから日本でのサーバービジネスは順調に拡大、市場シェアは2倍、売り上げも3倍ほどに伸びた。「昨年は通年でもかなりの差を付けNo1となりました」と言う。
とはいえ市場全体は微増で、決して楽に進められる状況にはない。半導体需給の問題、為替の変動などもあり、マーケットはボラティリティー(Volatility:変動要素)の高い状況にある。そのような中でもデル・テクノロジーズが好調な背景としては「台数よりも金額の伸びが大きく、サーバーの高密度、大容量化が進みスケールアウトの規模の大きなサーバーが出ています」と言う。
伸びに寄与している技術要素としては、「5Gモバイル基盤での圧倒的な実績」「大規模プライベートクラウドへの導入」「AI/HPCシステムへの相次ぐ採用」という3つを挙げる。マーケットの不安定さの中でも安定したビジネスを維持しているのは、これら領域で「顧客との技術的な関係を保てているからだ」と説明する。たとえば5Gモバイルの基盤では、顧客である通信キャリアに対する長期に亘るサポートで求められる高い品質に応える体制を整えた。
また、数万台規模のサーバーをプライベートクラウドで運用するようなビジネスも生まれている。これは国内のデル・テクノロジーズのサービス部門も未経験の領域。そのため技術的なチャレンジをコロナ禍でも続け、それが良好な結果を生んでいる。さらにAI/HPC領域では新しいGPUサーバー製品を積極的に投入し顧客ニーズを掴んでいる。
もう1つの強みが、確立したビジネスプロセスだ。これにはまず、規模の経済のメリットがある。規模の経済では安価に部品を調達し安価な製品を提供できることに目が行きがちだが、需給バランスが不安定な中では顧客要求に迅速に応えることこそが重要だ。これに対しデル・テクノロジーズでは、グローバルサプライチェーンを強固に築いてきたことで顧客の要望にタイムリーに応えられる。サプライチェーンの力を最大限に活用し「実際に顧客に出荷する2日前まで部品はばらばらで、日本の顧客には流通のオーバーヘッドを入れても1週間以内に作られた製品が届くようになっています」と松本氏。サプライチェーンや工場の体制は特定部品に依存しておらず、コロナ禍ではそれにより注力してきた結果でもある。
松本氏がもう1つ顧客との関係性で重視しているのが「人」だ。これは顧客体験に影響する部分でもあり、コロナ禍で非接触での対応となったが、密に顧客とコミュニケーションをとれる体制を築いたことで、ビジネスを順調に伸ばすことができた。