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『2025年の崖』を前に、東京エレクトロンが“25年来”のメインフレームを脱却。「再成長期」に拍車

SAP S/4 HANAに移行──「オートクチュールから既製服のギャップ」をどう埋めたのか

 老朽化した基幹業務システムが企業のビジネス成長を阻害する要因になっていることはよく知られている。「2025年の崖」の問題に正面から取り組んだのが、世界最大級の半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンだ。2021年に「SAP S/4 HANA」を導入し、グローバル展開を進める経緯とは。同社 ITユニット 情報システム部 部長代理 柿良幸氏に話を訊いた。

25年以上使い続けたメインフレームからSAPへ

──まず現在のお仕事内容を教えてください。

 東京エレクトロンは、半導体製造装置の開発、製造、販売サービスまで一貫して担っています。弊社のIT部門は2部制を敷いていて、私は情報システム1部に所属し、データサイエンス、DX、ソフトウェア開発テクノロジーを担当しています。

 また、全社のデータプラットフォームの統一化を進める「Global One Platform(G1P)」のPMOでサブリーダーとしての役割と、データ移行と本番切り替えも担っています。G1Pプロジェクトは、ビジネス規模を数倍に成長させるイノベーションのためのプラットフォーム構築を目指しているものです。

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東京エレクトロン ITユニット 情報システム部 部長代理 柿良幸氏

──ERP導入やG1P構築などIT投資を積極的にしている印象です。どのような動機で取り組むことになったのでしょうか。

 我々が提供する装置製品は多岐にわたります。弊社はもともと技術専門商社で、今のメーカーに変わる過程で組織がそれぞれに発展してきた歴史があります。お客様から見ると、「東京エレクトロン」という1つの会社ですが、各事業部のキャラクターやプロセスはかなり異なるような状況でした。

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提供:東京エレクトロン

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 しかし、テクノロジーの世界は日々ものすごいスピードで進化し続けています。今後もお客様が開発しようとしている“5世代先”の製品装置を提供していくには、従来の縦割りの組織体制やプロセスを改めるときだと感じたのです。我々自身が変わることで、お客様により早く、最適な製品を提供することにもつながると考えています。

──全体最適の仕組みを作ろうとしているわけですね。今回SAP S/4 HANAを導入されましたが、それ以前はどんなシステムを使っていましたか。

 本社ではメインフレームのシステムを25年以上も使ってきました。オーダーメイドシステムだったので、エンドユーザーにとっては使い勝手の良いものだったと思います。ですが、会社の成長とともに継続利用に限界が見えてきたのです。

 というのも、商社からメーカーへの移行を終えた1990年台の初めは2000億円前後だった売上は、2022年3月期に2兆円を超えました。2027年3月期までの中期経営計画ではさらに売上を伸ばし、3兆円超えを目標に掲げています。

 今後、売上3000~4000億円だった頃のシステムをいつまで使い続けるのか。業務の場面でたとえば、海外拠点の現在の人員数を知りたいときに電話で聞く方法しかないのか。組織が大きくなればなるほど、海外を含む全拠点から情報を集めるための時間と手間は増える一方です。経営のパフォーマンス情報を集め、意思決定に活かすまでのスピードに問題意識を持ったことが、SAP導入の後押しになりました。

 それに我々は東証に上場していて、ルールに則した情報開示を行っていますが、メインフレームのシステムでは経営の透明性を対外的に示しにくい問題もありました。

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提供:東京エレクトロン

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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