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前例踏襲、デマケ……日本郵政グループのDXを阻む文化を一掃へ 6,500人が受講した独自研修に迫る

グループ社員1万人のDXリテラシー向上のため、まずは「X」の成功体験を積むことから

 日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命などを傘下に抱える日本郵政グループ。歴史のある超巨大組織が今、グループ全体でDXに取り組んでいる。その推進力になる専門人材の確保と育成は、日本企業にとっても重要な課題だ。同グループは目標に「グループ社員1万人のDXリテラシー向上」を掲げる。なぜ日本郵政グループはDXリテラシー向上に着目したのか。その狙いとこれまでの展開を訊いた。

全社を巻き込む「ワンチーム」の推進体制

──まず、所属会社の紹介と、現在の担当業務から教えてください。

西郷佐知子(以下、西郷):本籍は楽天グループですが、2021年7月からJPデジタルに出向し、日本郵政グループ全体のDX人材育成を担当しています。

加藤善久(以下、加藤):日本郵政からJPデジタルに出向し、西郷とともにDX人材育成を担当しています。実際の研修を提供するのは郵政大学校ですが、その支援を行うのがJPデジタルです。

平井健一(以下、平井):郵政大学校はグループ各社に共通研修を提供する組織です。グループ各社の窓口となり、DX研修の他、様々な研修を提供しています。

上田裕太(以下、上田):ゆうちょ銀行の人事部人材開発室に在籍し、人材育成戦略に沿ったDX研修を提供しています。

──日本郵政グループは「グループ社員1万人のDXリテラシー向上」という目標を掲げています。人材育成の目的とDX研修を提供しようと考えた背景について教えてください。

平井:DXの推進は、中期経営計画「JP ビジョン2025」の大きな柱の1つです。私たちはリアルとデジタルを融合した郵便局の実現を目指していて、それに向けて人材の獲得と育成が重要です。その手段の1つとしてDX研修を提供しています。

加藤:それぞれが担当する業務の改革を担うジェネラリストをグループ全体で育てることがゴールです。ともすれば今までの延長線上になる懸念もあったので、西郷のような異なる価値観を持つ人にもチームに加わってもらっています。

 2021年5月に中期経営計画の発表があってから、同7月にJPデジタルが発足、翌8月から営業を開始しました。西郷と2人で郵政大学校を始めとする各社の主要部署を訪ねたり、関係者全員が集まって課題を洗い出したりして、人材育成方針が固まったのが9月でした。グループ4社の人事、その他の幹部、各社の社長への説明も行い、合意を得て提供準備を進めてきました。研修提供を開始したのは2022年8月になります。

──最初は2人で各社を訪問するところから始めたとのことですが、グループ各社との足並みを揃える上でどんなことに苦労しましたか。

西郷:郵政大学校が研修を提供する立場、グループ各社が研修を受講する立場という関係ではなく、グループ全体で前を向いて取り組まなくては、求める成果を出せません。「ワンチーム」を作るために私が意識したのが、皆さんを巻き込むことでした。具体的には、課題認識とゴールの共有を目的とするワークショップを実施しましたね。コロナ禍でしたが、あえて会社に集まってのワークショップだったのが、良い結果につながったと思います。今も毎週火曜日に定例会議を設定していて、できるだけワンチームを意識した運営を継続させています。

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「D」ではなく「X」に方針を転換したわけ

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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