SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2025 春の陣(開催予定)

2025年3月18日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

EnterpriseZine Press

日本郵政グループ約40万人のDXを牽引する「JPデジタル」 CIOが描く“みらいの郵便局”とは

ユーザーは全国民、約24,000の郵便局ネットワークの変革に挑む

 JPデジタルは、日本郵政がグループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することを目的として、2021年7月に設立した子会社だ。DXによって郵便や銀行、保険などを取り扱うグループ各社のサービスの改善および新たな価値創出を命題としている。その設立の背景や目的、実際のプロジェクトの状況、またそれらを実践するための組織などについて、同社 執行役員 CIO 柴田彰則氏、DX部門 市橋知樹氏の両名にお話を伺った。

「みらいの郵便局」実現をめざす、日本郵政グループのDXとは

 郵便物流事業を手がける「日本郵便」、銀行事業を行う「ゆうちょ銀行」、そして保険事業を担う「かんぽ生命」という3つの巨大事業を束ねる日本郵政。2007年の民営化後も多くの顧客にサービスを提供し続け、いわば日本における社会的インフラの一角を担う存在だ。そんな日本郵政も、グループ全体でのDXに取り組むことを命題に2020年10月にDXガバナンスや方針決定を行うDX推進室を発足[※1]。2021年5月に発表した中期経営計画「JP ビジョン2025」(PDF)には未来に向けた成長戦略の1つとしてDXを掲げ、リアルな郵便局ネットワークにデジタル技術を掛け合わせて、郵便局を『お客さまと地域を支える共創プラットフォーム』とすることを宣言している。そのDXの実行部隊として2021年7月に設立されたのが、「JPデジタル」だ。

 DX推進室の立ち上げから参画し、現在はJPデジタルの執行役員 CIOとしてDX推進を牽引する柴田彰則氏は、「日本郵政グループ各社にもデジタル担当部署があり、それぞれ事業内でのDXに取り組んでいたが、制度面や組織面の問題もあり、グループ全体としての最適化および本質的なサービスへの視点が欠けることが多かった。そうした中でJPデジタルは、グループ内でも独立した組織として、事業横断的に柔軟かつ迅速に動ける、いわば機動力と専門性を持った“DXの起爆剤”の役割を期待されている」と設立の背景を語る。

(右から)JPデジタル 執行役員 CIO 柴田彰則氏、DX部門 市橋和樹氏
(右から)JPデジタル 執行役員 CIO 柴田彰則氏
DX部門 市橋知樹氏

 それではJPデジタルが担う「日本郵政グループ全体のDX」とはどのようなものか。まずはサービスのDXについて基本姿勢としているのが、日本郵政が「日本の社会インフラの一部を担う存在である」という事実だ。現在、郵便局を窓口として郵便や銀行、保険などさまざまなサービスが提供されており、顧客は小さな子供から高齢者と幅広く、障害のある方や外国籍の日本在住者など、事情やライフスタイルもそれぞれ異なる。そのすべての人に快適で便利なサービスが提供できているのか、改めて本質を見つめながら、改善・改革していく必要がある。

 「郵便局が誰にとっても便利で魅力的な“行きたい場所”になるために、DXをどのように活用していくか。そう考えると、単なる効率化・デジタル化や使える人だけが使える最新デジタルサービスという発想ではなく、改善にしても新たなサービスにしても、これまでの郵便局と同様、誰もが使えて広く社会全体に役立つもの、かつ未来に向けて持続できるユニバーサルなサービスであるべきだと考えている」と柴田氏は語る。

 そうなれば、既存の資産である全国2万4000件もの郵便局ネットワークの活用は必然といえるだろう。人々の生活に溶け込み、信頼感を獲得している郵便局の“郵便局らしさ”をそのままに、DXを活用してより便利で役に立つものにしていくという考え方だ。

 柴田氏は「デジタル技術的な視点からではなく、まずは郵便局のサービスとしてどうあるべきか、事業としてのあり方について喧々諤々と議論した。その結果、『誰でも利用できる画一的なユニバーサルなサービスを、それぞれのニーズの多様さに合わせて使いやすい形で利用できること』という方向性を得た」と振り返る。つまり、目指すべきは「デジタルによるサービス」ではなく、「郵便局らしい魅力的なサービス」であり、それをより快適に便利なものにするためにDXを実行するという発想だ。その考えのもと、JPデジタルでは目指すべき理想像を「みらいの郵便局」と位置づけ、事業目標に据えている。

[※1] 「新規ビジネス室」及び「DX推進室」の設置について(日本郵政プレスリリース)

次のページ
郵便局の魅力を高めるため、3方針で多数のプロジェクトが始動

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/15940 2022/05/24 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング