2023年も「Sphere 23」開幕へ──WithSecureの伸長支える戦略
1988年にF-Secureとして創業され、昨年6月にBtoBの法人向け部門が分社化したWithSecure。約3ヵ月前の2023年2月に実施された事業戦略説明会では、業績の伸長が語られていた。「Sphere 23」開催前の本取材においては「堅調に成長している」とヒンティッカ氏が自ら強調すると、クラウドベース製品が半数を占めるほどになったと説明する。なお、残りの約3割がコンサルティングサービスであり、オンプレミス向けの製品も2割と下支えしている。
「日本市場においては、長くオンプレミス製品の存在感が大きかった。現在は富士通や加賀FEI、NECらと良好なパートナーシップを構築しており、『Cloud Protection for Salesforce』をはじめとしたSalesforce向けサービスの引き合いも多く、大きな“成長の種”になっている」とヒンティッカ氏。グローバルに目を向けると、下図のように2025年までにクラウドベースのプラットフォーム「WithSecure Elements」、MDR(Managed Detection and Response)である「WithSecure Countercept」、コンサルティングサービスともに市場成長の余地が大きく残っているとした。
前述したような成長を実現するためにも同社が重要視する考え方が「Co-Security」と「アウトカムベースのセキュリティ」であり、2022年の「Sphere 22」でも触れられているなど、その重要性は高まってきている。
ヒンティッカ氏は、下図のような“価値創造における好循環”のイメージ図を示しながら、互いの製品・サービスが支え合っているビジネス構造で製品化も推進されているとして自信を見せると、「2023年の第1四半期においては、クラウドポートフォリオの年間経常利益(ARR)は27%の成長を積み重ね、売上維持率(NRR)も110%を記録している」と説明。今後もクラウド製品群に注力していく中で、日本市場においては、特に“信頼性”が重要視される市場特性があり、クラウド移行への関心が高いとして拡大の意欲を見せた。
また、WithSecure CPOのコスケラ氏は、「あらゆる産業においてオンプレミスからクラウドへの移行は加速しており、DXを実現して“デジタルネイティブカンパニー”になろうとしている」と話し、そのスピードにセキュリティも追随していくことが重要だと指摘。依然として、2000年代のオンプレミス環境のアーキテクチャに依存している企業が多い中で、まずは前述したアウトカムベースのセキュリティを採用しながらクラウドシフトという“大きな山”を踏破する必要があるという。ここで数年のうちに耳にする機会が増えた「ゼロトラスト」の考え方を実践に移す企業も多い中で、下図のように製品だけに閉じない、新しい考え方が必要になるとして同社の戦略ポートフォリオを提示した。
同ポートフォリオの中核にはWIthSecure Elementsが位置しており、そこからマネージドサービス、コンサルティングサービスと広がる。SMB(Small and Medium Business:中小企業)からエンタープライズ規模まで、エンドポイントからクラウドを含めた形でヒト/プロセス/テクノロジーが一体となったアウトカムベースのセキュリティを展開できると自信をのぞかせる。
なお、同社は5月24日に、WithSecure Elementsの新モジュールとして「Cloud Security Posture Management(CSPM)」をリリース。今後もポートフォリオを拡充していくという。