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親の介護で第一線を退くも、古巣で初の女性社長に──フューチャーアーキテクト神宮氏が体現する「多様性」

IT業界で女性も働きやすい環境とは? 自主性を尊重する同社に根付くカルチャーから見る

 2019年にフューチャーアーキテクトの社長に就任した神宮由紀氏は、IT業界ではまだ例が少ない女性経営者として注目を浴びることが多い。過去に家族の介護のためにいったん離職したものの、その後若くして社長に昇り詰めるなどユニークなキャリア形成プロセスを歩んできた人物として知られる。そんな同氏にこれまでの歩みを振り返ってもらいながら、自身のキャリア観や仕事に対する思い、経営者として大事にしていることなどについて聞いた。

2年間、家族の介護に専念した後にキャリアを再開

 フューチャーアーキテクトは、日本におけるITコンサルティングファームの先駆けとも言われる企業だ。1990年代、まだ国内ではメインフレームが主流だったエンタープライズシステムの分野において、オープン系技術を使ったシステム構築で業務改革を推進するプロジェクトをいち早く手掛け、それ以降も特に大量トランザクションを扱う大規模システムのモダナイズに強みを持つITコンサルティング企業として評価を高めてきた。現在では金融、製造、小売、流通、メディアなど、様々な業界の大手企業のDX推進を支援している。

 そんな同社のかじ取り役を務めるのが、2019年に代表取締役社長に就任した神宮由紀氏だ。長崎県出身の同氏はもともと地元志向が強く、東京に出て働くつもりはあまりなかったという。

 「実家が商店を営んでいたこともあり、学生の頃から長崎県の産業衰退や人口減少に危機感を覚えていました。その解決のためには今後将来性があり、かつ場所を問わず雇用や産業を生み出せるITに可能性を感じて、シティアスコムという地元に近いSI企業に就職しました」

 シティアスコムで製造・流通業界のクライアント企業のシステム開発に従事した後、顧客と直接やりとりする上流工程からシステム開発を手掛けたいと考えるようになる。そんな折、ちょうどフューチャーシステムコンサルティング(現、フューチャー)が1998年に福岡にオフィスを開設したことを知り、入社を決めたという。

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フューチャーアーキテクト 代表取締役社長 神宮由紀氏

 同社に入社した後は、九州エリアのクライアント企業のシステム構築プロジェクトで設計・開発を行っていたが、東京のクライアント企業のプロジェクトにアサインされたことにともない上京。その後12年間にわたって、同社の東京本社で様々なプロジェクトに携わり、リーダーとしてプロジェクトを率いていたところ、2012年に転機が訪れる。

 「父親の介護が必要になって、東京と長崎を行き来する生活が1年ほど続きました。現在のようにリモートワークも当たり前という環境ではなかったため、やむなく退職して、長崎の実家で介護に専念することにしました」

 その後2年間にわたって介護に専念し、一段落ついた後にキャリアを再開した同氏が選んだ職場は、古巣ではなく日本マイクロソフトだった。

 「当時クラウドやAI、IoTなどが台頭し始めた頃だったので、そうした先進技術をいち早くキャッチアップできる環境で働きたいと考えていました。また、それまではもっぱら日系企業でキャリアを積んできたので、これを機にグローバル企業も見てみたいと考え、日本マイクロソフトに入りました」

 そこで2年半ほど働いた後、かつての同僚から「そろそろ戻って来ないか?」との誘いを受け、2017年にフューチャーに復帰して現在に至る。

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次期社長候補として社員に訴えた3つのビジョン

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

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