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「ITがわからなければ経営者になりえない」楽天グループのDXに通じるキーワードを平井副社長が語る

 楽天グループは1997年の創業以来、「楽天市場」「楽天トラベル」など次々に新サービスを展開し、2020年には「楽天モバイル」でモバイル事業にも参入した。成長のベースには、テックネイティブな企業文化とそれを支える「Trustworthy(信頼できる)」なセキュリティへの取り組みがあった。先ごろマクニカが開催した「Macnica Security Forum 2023」に楽天グループ 副社長執行役員の平井康文氏が登壇。同社のセキュリティへの取り組みやDX時代に必要なリーダーシップについて講演した。

楽天グループ成長の2つの原動力

 2022年に創業25周年を迎えた楽天グループは70以上のサービスを展開している。平井氏は成長の原動力として大きく2つの取り組みを挙げた。

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楽天グループ 副社長執行役員 平井康文氏

 1つ目は「Englishnization」。これは、同グループの創業者で代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏の造語で、社内公用語英語化を意味するものだ。2010年に始まったこの取り組みにより、社員のTOEIC平均点は850点近くまで上昇したという。最大の効果として、世界中から優秀な人材を雇用できるようになったことを挙げた。

 2つ目は「楽天主義」と呼ばれる揺るぎない企業文化・理念の存在だ。これは楽天グループのあり方を明確にし、すべての従業員が理解し実行する価値観・行動指針となるもので、いわゆる社是やコーポレートフィロソフィーに相当するもの。楽天グループでは単に共有するだけでなく、“共感”することをスタートポイントに据え、共感から共鳴や共振を起こし、最終的にはコラボレーションが生まれることを目指している。

 ちなみにコラボレーションのベースには相互信頼も必要だが、その構築を一次的に阻んだのがコロナ禍だった。平井氏は現地現物主義で「10回のウェブ会議より1回の面直会議、10回の面直会議より1回の飲み会」と考えるそうだ。「リモートワークでは生産性は高まった一方で、クリエイティビティは大きく失われたのではないでしょうか」と振り返った。

全世界に約6,000人、グローバルな開発組織

 楽天グループはグローバルな開発組織を有し、全世界に約6,000人のエンジニアがいる。日本国内だけでも約3,700人がおり、うち6割が外国籍だ。

 アジアだとインドのベンガルール、中国の上海や大連などにオフィスがあるが、これらはよくあるオフショア開発センターではない。イノベーションハブ、あるいはキャプティブセンターとしての機能を果たし、プロダクトのデザインから開発、運用までを担う。また、北アイルランドのベルファストにはブロックチェーン技術に特化した研究開発組織を設置。テクノロジー創出のための研究機関「楽天技術研究所」は東京、シンガポール、パリ、ボストン、ベンガルールなどにある。

 こうした多様性のあるグローバル組織で目指すのは「パーソナライズされたデジタルコマースエクスペリエンス」だと平井氏。具体的にどう実現していくのか、ハンバーガーのイラストを用いて図解した。

 まず、長年運用してきた楽天IDや楽天ポイントなどのメンバーシッププラットフォームがハンバーガーの主役であるパテ。具材のチーズには楽天カードや楽天銀行、楽天Edy、楽天キャッシュといった多様な決済手段を、トマトには70以上のサービスを位置付けた。ベースに敷いたレタスはモバイルネットワークで、これが多様なOTTサービスを支える土管の役割を果たす。

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 平井氏は「ハンバーガーの形にしてギュッと組み合わせると、これまでにない価値を提供できるはず。それをパーソナライズした形で提供していくことが我々の使命です」と力を込めた。

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楽天グループがエンジニアに求める4つのこと

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この記事の著者

古屋 江美子(フルヤ エミコ)

フリーランスライター。大阪大学基礎工学部卒。大手通信会社の情報システム部に約6年勤務し、顧客管理システムの運用・開発に従事したのち、ライターへ転身。IT・旅行・グルメを中心に、さまざまな媒体や企業サイトで執筆しています。Webサイト:https://emikofuruya.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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