マイケル・デル「AIには桁違いに高速なアーキテクチャが不可欠」
初日の基調講演に登壇したマイケル・デル氏は、コロナ禍でもビジネスが堅調に成長したことを強調。グローバルにおける2022年の収益が1,020億ドルを達成し、1日当たり17万9,000台の筐体を受注・出荷した実績を紹介した。実際、フォーチュン500に名を連ねる企業の98%が、デル製品を導入している。
同社では近年の顧客が抱えている主な課題として「マルチクラウドのジレンマ」「エッジの増加によるデータの分散化」「生成AIの導入」「将来の仕事のあり方」「セキュリティ」の5つを挙げている。中でも注目されているのが、生成AIの導入だ。企業ではコグニティブAIなどをプライベートなデータセットに適用し、ビジネス競争力を強化している。ただし、そこにはAIによって得られた知見が正確であることと同時に、AIの「安全性」や「倫理性」も加味しなければならない。
この点についてデル氏は、「技術には常に危険性がある。我々は責任感を持って慎重に技術を管理し、人間の価値観を反映させなければならない」としつつ、「技術革新は健康、教育、持続可能性、繁栄など、人類の進歩を牽引している。これまでも我々は潜在的に存在する技術リスクを管理してきた。(AIに代表されるような)技術の進化について、私は楽観主義者だ」と述べた。
AIワークロードは、デルのクラウドおよびインフラストラクチャビジネスの中で最も成長している領域であるとデル氏は説明する。その背景には、生成AIモデルの精度を向上させるためには、大量のデータセットと高い処理能力を持つサーバリソースが不可欠であることが挙げられる。IT専門の調査会社である米国IDCは、2025年までにグローバルでのサーバリソースの88%が、エッジで展開されるAIワークロードに使用されると推測している。
デル氏は「AI活用は企業が取組む喫緊の課題である」とし、例として金融機関における信用リスクアセスメントや詐欺の検出などを挙げた。多くの銀行では学習データに基づいてAIモデルをトレーニングし、高度なパターン認識で信用リスク評価や不正行為を検出している。「もし、企業が組織全体でAIを使用しておらず技術革新について深く考えていないのであれば、その企業はすでに遅れをとっている」(デル氏)。