アドビは、企業の総務担当者800人を対象に実施した「社内データの備えと管理に関する調査」の結果を発表した。
同調査は、企業が災害やシステム障害、テロなど、危機的状況下に置かれた場合でも重要な業務を継続できるように策定する事業継続計画(Business Continuity Plan:以下、BCP)への取り組み、およびクラウド管理やファイルの保存形式、電子サインの活用など、社内データの保管・管理状況を調査するものだという。
調査概要
・調査方法:インターネット調査
・実施対象:800人(従業員300人以下の企業の総務担当者400人、従業員301人以上の企業の総務担当者400人)
・調査期間:2023年8月21日~28日
社内データのバックアップを行っている手法について最も多かった回答は「クラウドバックアップ(インターネットを介してリモートサーバーに保存)」で50.8%であった。次いで「物理的なバックアップ(外付けハードドライブ、USBメモリーなどの物理的なデバイスに保存)」が47.5%、「紙によるバックアップ(重要な情報を紙に印刷して物理的に保管)」が31.2%となっている。半数以上がクラウド上でのバックアップを実施している一方で、「BCPを策定する予定がない」企業に絞るとクラウドバックアップを行っている割合は30.6%に留まるなど、一部の企業ではデジタル化が進んでいないと指摘している。
重要書類をどのような形式で保存しているかという質問に対し、最も多かった回答は「PDF形式(51.7%)」であった。次いで「紙による物理的な保管(42.0%)」が多く、契約書などの確認作業や締結作業が紙ベースで行われており、一部の企業ではペーパーレス化に至っていない様子が伺えるとしている。
BCP対策を行うことで、有事の際にも事業継続できる状態を保つことが顧客の信頼を得るうえで重要だと思うかについて、「とても思う(27.9%)」「どちらかというと思う(52.6%)」という結果になっており、全体の8割以上(80.5%)が重要な要素だと感じていることがわかった。
契約書などの重要書類のデジタル化の際、不正コピーや改ざんを防ぐために電子サインなどの機能でセキュリティの強化を行っているか聞いたところ、実施している企業の割合は39.9%(すべての重要書類が10.1%、一部の重要書類が29.8%)であった。
一方で、BCPを既に策定している企業、およびテレワークを継続的に実施している企業に絞ると、6割以上(それぞれ66.7%と64.4%)がセキュリティ強化を行っていることがわかった。
電子サインを利活用することにメリットがあると思うか聞いたところ、「大いにあると思う(24.9%)」「どちらかというとあると思う(50.6%)」と、合わせて75.5%が肯定的な考えを示した。BCPを既に策定している企業では90.5%、テレワークを継続的に実施している企業では87.4%が「メリットがある」と回答している。
災害などの緊急事態により移動ができなくなった際、ハンコや書類確認などで出社が必要となり業務が制限されてしまう危険性があるかについては、「とてもある(14.6%)」「どちらかというとある(48.5%)」と、合わせて63.1%が業務継続に不安を感じている結果となった。また、不安を感じている回答者のうち、上記の業務制限が事業継続の観点からリスクになり得ると思うか聞いたところ、「非常にリスクだと思う(28.5%)」「どちらかというとリスクだと思う(61.0%)」と、合わせて約9割(89.5%)がリスクへの懸念を持つことがわかった。
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