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開発担当者必携!トラブル削減のための原則拾七ヶ条

【伍】エスカレーション・マネジメントを行う。

第5回


 システム開発担当者は、合理的に、適切に、タイムリーに、上位者に対して、問題の扱いレベルを上げていくこと、すなわちエスカレーションが大切です。

「ほうれんそう」は担当者の基本動作

 

 もう、一昔以上前に、「ほうれんそうが会社を強くする」(山崎富治著、ごま書房)という本がありました。報告、連絡、相談が大切という内容で、ある証券会社の社長さんが書かれた本でしたが、その社長さんが自分の会社で野菜のホウレンソウを配ったこともあり、当時大変評判になりました。システム開発においても、この「報・連・相」は担当者の大切な基本動作です。

 しかし、要領よく、タイムリーにこの「報・連・相」を行うのは難しいことです。なかなかうまくいかない。ましてや、うまくいっていないことや、問題、または、問題になりそうなことについては、何とかしよう、という気持ちがどうしても先に立ちますし、責任や、説明をする負担感などから、どうしても「報・連・相」をするのが後手に、後手にまわります。

 特に、承認レベルが高い、つまり上位者にお伺いを立てなくてはならない案件になりますと、必ず先に、問題を自分たちで片付けようという気持ちが強くなり、表に出た時は手遅れなどということになりかねないのです。

 こういったことがおこらないようにするためには、合理的に、適切に、タイムリーに、問題の扱いレベルを上げていくこと、すなわちエスカレーションを行う必要があるわけです。

 システムには社会的責任を負うような重要なものもあるわけですから、課題、問題は、その大きさ、内容によっては経営にまで円滑に届かなければなりません。これは大変大切なマネジメントといえます。

エスカレーションを躊躇しない

 この、エスカレーション、担当者に任せておいてはうまくいかない課題、問題を、文字通り、段階的に扱いのレベルを上げていく、拡大していくことです。例えば、システム開発を進める中で、予算を大幅に超過する追加投資が判明した時や、重要な要件について変更を入れたいのだが、現在開発中のシステム開発への影響が大きく、サービスインが遅れてしまいそうな時などに行う必要があります。

 もちろん、エスカレーションしたら出来ない物が出来るようになるとは限らないのですが、出来ない場合でも、適切なレベルで対策を打てば、問題がおこらないように、おこっても対応可能な適切なレベルで処理することが可能になり、プロジェクトは破綻しなくてすみます。

 さて、このように重要なエスカレーションですが、最初に言いましたように、エスカレーションすることは担当者には負担の大きいことです。どういう理由であれ、出来ないというのは、言いにくい。また判断も担当者まかせでは誤りやすいわけです。従って、管理する立場の人が大きな役割を果たす必要があります。

 「エスカレーション・マネジメントを行う」という言葉の通り、ポイントはマネジメントです。マネジメントには担当者の基本動作としての業務マネジメントが当然含まれているのですが、「エスカレーション・マネジメントを行う」必要がある多くの場合は、担当者の手に余る案件が多いわけですから、これは管理職ないしはリーダーが課題、問題を拾い上げて「エスカレーション・マネジメントを行う」必要があるわけです。管理という仕事は担当者の仕事がうまく行くようにするのが重要な目的の一つですから、ここは積極的にマネジメントを担う人が役割を果たさなければいけないわけですね。

 管理職でも悪い報告、伺いを上司に上げるのはいやなものですが、ぜひとも、「そんなこと、部長に言えるか…」「何とかしろ…」などと言わないでいただきたいものです。

エスカレーションプランはITガバナンス

 エスカレーションしても、エスカレーションする先の役割を担う人が、システム開発に伴う危機管理を本来業務と思っていなかったら…。

 残念ながら、まだ、システムは重要と思っていても、システム開発については無関心という偉い人はたくさんいます。エスカレーションプランは、間違いなくITガバナンスの重要な課題の一つです。システム開発がうまくいかなければ本業がうまくいかない訳ですから。

 システム開発を本業と同じレベルで管理することが今日の経営者には間違いなく求められていると言えましょう。

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この記事の著者

菊島 靖弘(キクシマ ヤスヒロ)

独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC) リサーチフェロー。1975年東京海上火災保険に入社。以来30年間、損害保険、生命保険、確定拠出年金といった業務システムの開発に携わった他、東京海上日動システムズ取締役品質管理部長として、トラブル削減や、開発品質管理の向上を実...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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