東芝デジタルソリューションズは、AI翻訳を活用した法令翻訳システムを2023年12月1日から法務省に提供開始した。この法令翻訳システムは、法務省での4ヵ月間の試行運用を経て、2024年4月から全省庁で運用が開始される予定だという。
法務省では、日本法令の外国語訳推進のための基盤整備を進めており、現時点で900以上の法令の英訳が公開されている。しかし、従来は、法令公布から最終版の英訳公開までに平均で約2年半かかっており、その最大の要因は、英訳原案の作成作業にあったとのこと。法令の英語化に当たって、まず、法令所管府省庁において翻訳対象となる法令の英訳原案を作成するが、各府省庁では英訳専任担当がいないことが一般的であり、法令所管府省庁の担当職員が通常業務と並行して英訳業務を行っている。そのため、英訳原案の作成作業に時間を要し、その作業負担も課題となっていたとしている。
こうした背景があり、英訳公開までの抜本的な期間短縮を図るため、法務省では2019年から英訳原案の作成作業にAI翻訳の導入が検討されてきた。翻訳精度の検証や調査研究事業を経て、2022年度のシステム調達の結果、この法令翻訳システムが採用され、2023年4月からシステム開発を行ってきたという。
法令翻訳システムでは、東芝デジタルソリューションズが培ってきた自然言語処理技術に、情報通信研究機構(NICT)先進的音声翻訳研究開発推進センターが開発した法令専用の最新ニューラル翻訳モデルを組み合わせ、法令文固有の課題に合わせた追加学習などを実施。その結果、BLEUスコア54.89をマークし、従来のAI翻訳では難しかった法令英訳のルールに則ったAI翻訳を実現している。加えて、完成した翻訳文を法務省や他の所管府省庁が確認しやすいような編集機能も提供し、法令翻訳業務全体の業務効率化を目指したシステムとなっているとしている。
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