
多くの日本企業でセキュリティ被害が増えている昨今、企業や組織はどう対応していくべきなのか。イー・ガーディアングループCISO 兼 EGセキュアソリューションズ取締役CTOである徳丸浩氏が、日本の「セキュリティのイマ」をわかりやすく徹底解説する連載企画第8弾。今回のテーマは「最近聞きがちな内部不正による情報漏えい『どこの企業でも起こり得る』リスクにどう対応する?」です。先日、日本の大手企業から大規模な情報流出事件が発生し、大きな話題となりました。こうした大規模な情報流失の事案は度々発生し、企業も対策を取ってはいるものの、完全に防ぐのは中々難しいのが現状です。そこで徳丸氏は、改めて「最小権限の原則」の大切さを説きます。今回は、内部不正による情報漏えいへのセキュリティ強化のポイントについて詳しく解説します。
実は難しい内部不正への対策
はい、では今回は内部不正による情報漏えいについて、お話ししたいと思います。「最近ニュースに取り上げられたり、見ることが多い」とのことですが、これ自体は昔から起きてはいます。しかし、実際に件数が増えているかどうかは具体的に調べる必要はあるものの、ニュースなどで見る機会が増えているというのは、ある意味"世の中で注目されている"ということでもあると思います。実際に、今年のIPAの情報セキュリティ10大脅威でも組織編においては4位(昨年は5位)となっております。

もっとも、内部不正というと範囲は広く、「会社のお金を使い込んだ」といった行為も「内部不正」なのですが、今回はセキュリティの話題となるのでもう少し内容を絞りたいと思います。昔から今に至るまでの事例として多いのは「会社の中の情報を持ち出し」した結果、「名簿業者などに売った」などいったものがあります。
たとえば、かつてある有名なtoCサービス企業(以降A社とします)から大量の個人情報が持ち出されたという事件がありました。こちらは、コールセンターか何かの保守を担当する派遣のエンジニアが持ち出したということがわかっています。内部不正で時折発生する典型的なケースですが、この場合、 犯人が元々その情報にアクセスする正当な権限をもっているんですね。ですので対策が非常に難しいということになります。
最近でもコールセンターから個人情報を大量に持ち出す不正の際に、USBメモリーを使って持ち出しをしたことが話題になる事件がありました。後になって、その会社から「USBメモリーを使うことを一切禁止する」というようなリリースもありましたね。そして、現状では本件に対する様々な反応があるところであります。
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徳丸浩(トクマル ヒロシ)
イー・ガーディアングループCISO 兼 EGセキュアソリューションズ取締役CTO。ウェブアプリケーションセキュリティの第一人者。 脆弱性診断やコンサルティング業務のかたわら、ブログや勉強会などを通じてセキュリティの啓蒙活動を行う。 徳丸氏がCTOを務めるEGセキュアソリューションズは、セキュリティの知識を問う 「ウェブ・セキュリティ試験」の監修を務める。著書「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 第2版」は、...
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