システム開発の様々局面で行われるレビューは、レビューアーの資質がその目的を達成するために大変重要な鍵を握ります。レビューを成功させるためには「有識者」の参加が欠かせません。
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開発品質を保つにはレビューが有効
システム開発は言うまでもなく、担当者の能力に極端に依存した人手による仕事です。加えて、担当者はどういう人達かといえば、ケースバイケースでなかなかバラエティに富んでいると言えましょう。経験豊かなベテランがいると思えば、新人もいる、突然他の業務から異動してきた人もいるといった具合です。こういった開発チームの作業品質、プロダクト品質を高めるためにシステム開発の現場においてはレビューがよく行われます。
次のグラフは、JUAS(日本情報システムユーザー協会)が調査した、70プロジェクトについてのレビュー実施と、その開発品質に対する効果です。
(詳細は、JUAS発行の「ユーザー企業ソフトウエアメトリックス調査2007」P115をご覧ください。入手はこちらのサイトで可能です)

緩やかではありますが、指摘の多いプロジェクトは明らかに欠陥が少ない傾向があります。概ねレビューは、開発品質に対して効果があるといえるでしょう。
このように、多くの会社でレビューという手法がシステム開発の様々な局面で行われていますが、承知しておかなければいけないことは、どのようなレビューであっても、レビューは人によるチェックを手段とした業務品質、プロダクト品質確保戦術だということです。
従って、レビューアーの資質がその目的を達成するために大変重要な鍵を握ることになります。例えば、レビューの目的が作業品質確保であれば、レビューアーは担当者から正確な状況情報を引き出し、視点を提供し、作業上対応不可欠なことに対する情報・知識・対処策をサプライしなければなりません。つまり、それが出来る情報・状況把握力、情報供給力ある有識者がレビューアーとして参加することが重要なポイントとなります。
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菊島 靖弘(キクシマ ヤスヒロ)
独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC) リサーチフェロー。1975年東京海上火災保険に入社。以来30年間、損害保険、生命保険、確定拠出年金といった業務システムの開発に携わった他、東京海上日動システムズ取締役品質管理部長として、トラブル削減や、開発品質管理の向上を実...
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