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井無田仲と探る「変革のフロントライン」

三井住友フィナンシャルグループ 磯和啓雄×テックタッチ 井無田仲──異彩放つバンカーによる事業変革

「社会的価値の創造」に向けた、SMBCグループによる快進撃の源泉とは

 2018年に経済産業省が『DX推進ガイドライン』を発表したことで、急速に広まった「DX」という言葉。今、各社がその対応に追われている。その中で、ビジネスモデル改革をたゆみなく進めている三井住友フィナンシャルグループ。同社にてデジタル領域のビジネス開発、イノベーション創出に取り組んでいるグループCDIO 磯和啓雄氏に中期経営計画で「社会的価値の創造」を掲げる背景や、既存の枠組みにとらわれないイノベーションの生み出し方について話を聞いた。

SMBC流「攻めのDX」人材確保で変化した組織文化

井無田仲氏(以下、井無田):三井住友銀行に入行以来、法人業務・人事・経営企画・総務などに従事され、IT戦略室(当時)の部長としてご活躍、2023年より執行役専務 グループCDIOを務めていらっしゃいます。まずは、SMBCグループ全体のDXを牽引してきた磯和さんのご経歴を教えてください。

磯和啓雄氏(以下、磯和):1990年の入行以来、バンカーらしいキャリアを送ってきたと思っています。法人業務からキャリアをスタートさせ、最も長く従事した業務は本部のコーポレート部門です。その際、経営企画部、法務部、人事部の副部長などを経験しました。2015年よりIT戦略室の部長を務め、以来SMBCグループのDX化を進めてきました。

三井住友フィナンシャルグループ グループCDIO 磯和啓雄氏
三井住友フィナンシャルグループ グループCDIO 磯和啓雄氏

井無田:事業成長のための「攻めのDX」と、生産性向上のための「守りのDX」、DXには2つの側面があると考えていますが、どのようにバランスを取ってこられましたか。

磯和:弊社では組織を分けています。「攻めのDX」は私が率いるデジタル戦略部で、「守りのDX」は業務改革室が指揮を執ります。どちらの組織もスタートアップと協業しますから、積極的に情報を共有する間柄です。

井無田:攻めのDXを牽引するポストに就任され、まずどんな業務に取り組みましたか。私も新卒で入行していることもあり、保守的なイメージのある“銀行”という組織で新しいことに取り組むとなると、並々ならぬ苦労があったのではとお察しします。

磯和:着任後、最初の取り組みとして、オンライン金融管理サービス「Olive」の前身である「SMBCダイレクト」のリニューアルが決まっていました。「SMBCダイレクト」のアプリは、アプリと言えど、タップするとブラウザにとぶ仕様。改良の余地があることはわかりますが、私自身にリテール部門の経験もなければ、どうやってアプリを作るのかもわからないという状態でしたね。

 実は、SMBCダイレクトには思い入れがあったのです。なぜなら、コーポレート部門の法務部に在籍した際、私が作ったセキュリティシステムが10年経ってもそのまま使われていたからです。

 ただし世間には生体認証システムが定着していたにも関わらず、UIやセキュリティシステムは10年前から進化がない。これはまずい、と人材を増やすことから始めて、1年で数名から10倍近くの組織にしました。

井無田:1年で10倍はすごいですね。専門外であるにもかかわらず、そのスピードでチームを作るには相当ご苦労されたのではないかと想像するのですが、人員はどのように確保されたのでしょうか。

磯和:立ち上げ当初、IT戦略室に招集されたのは銀行員。その他のメンバーは協力会社から出向や委託契約という形で在籍してもらいました。新しい風を他の部署の方々にも感じてもらうため、専門知識を備えた人材をIT戦略室に迎え、一緒に仕事をすることを重視しました。

 ちなみに、弊行の「ドレスコードフリー」というカルチャーが生まれるきっかけとなったのは、この外部から来たメンバーの影響です。外部から来たメンバーから「スーツやネクタイは必須ですか」と言われ、たしかに彼らの業務にスーツは必要ないな、と。当然、IT戦略室のドレスコードフリー化は行内から猛反対されました。しかし、社長に掛け合ってOKをいただいた瞬間から、行内はドレスコードフリー“OK”のムードになったのです(笑)。

井無田:従来の組織文化を覆すほどのパワーをもって、御行のDXを推進されてきた。大企業の中での大胆かつスピーディーな事業展開も腑に落ちます。

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数百億円の投資予算を持つ、新規事業提案の場「CDIOミーティング」が鍵を握る

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この記事の著者

井無田 仲(イムタ ナカ)

テックタッチ株式会社 代表取締役慶應義塾大学法学部、コロンビア大学MBA卒
2003年から2011年までドイツ証券、新生銀行にて企業の資金調達/M&A助言業務に従事後、ユナイテッド社で事業責任者、米国子会社代表などを歴任し大規模サービスの開発・グロースなどを手がける。「ITリテラシーがいらなくなる...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中釜 由起子(ナカガマ ユキコ)

テックタッチ株式会社 Head of PR中央大学法学部卒。2005年から2019年まで朝日新聞社で記者・新規事業担当、「telling,」創刊編集長などを務める。株式会社ジーニーで広報・ブランディング・マーケティング等の責任者を経て2023年にテックタッチへ。日本のDX推進をアシストするシステム利...

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