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井無田仲と探る「変革のフロントライン」

コスモエネルギーHD ルゾンカ典子×テックタッチ 井無田仲──データドリブン経営の源泉は、多様な仲間

DX成功の鍵は、小さな目標設定と全員参加型の仕組みにあり

 コスモエネルギーホールディングス(以下、コスモ)は、「データの民主化」により“データドリブンな経営”を行うことで知られる。DXで十分な成果を上げている日本企業はわずか10%程度。テックタッチ代表取締役CEO井無田仲氏が、常務執行役員CDO・ルゾンカ典子氏に「DX成功の法則」を聞いた。

個人や専門組織が単独で動いても、DXは成功しない

井無田仲氏(以下、井無田):2021年から、コスモエネルギーホールディングスのCDOとしてグループ全体のDXを推進する立場にいらっしゃいますが、CDOとしての知見やスキルはどのように磨いてこられたのでしょうか。

ルゾンカ典子氏(以下、ルゾンカ):私はアメリカの大学に留学後、そのまま大手自動車保険会社のR&D部門で顧客・商品分析を経験すると、2006年に帰国して日本でキャリアを重ねてきました。いくつかの業界を経験していますが、共通して手がけてきたのが「データを分析して、ビジネスに活かす」こと。そこから派生して分析チームの立ち上げや、社内コンサルのように各種プロジェクトを支援する役割をこなして、今に至ります。

コスモエネルギーホールディングス株式会社 常務執行役員CDO ルゾンカ典子氏
コスモエネルギーホールディングス株式会社 常務執行役員CDO ルゾンカ典子氏

井無田:元々データを扱うことは得意だったのでしょうか。

ルゾンカ:大学で研究助手をしていたとき、「データをいじるのが苦ではないし、周囲の人よりも得意」だと気づいたのです。そういう意味では、私のキャリアの入り口は、学生時代だった気がしますね。

 また、チームで仕事をする大切さを学んだのも、学生時代のアルバイトです。ピザのデリバリー店でのリーダー、デパートの販売員などで学んだのは「成果は一人では出せない」ということ。“得意な仕事”は得意な人に任せ、最適なフォーメーションを組むという発想は、DXを推進する立場でも活きている、非常に重要な指針になっています。

井無田:つまり、「DXはどれだけ人を巻き込めるかが大事」ということでしょうか。

ルゾンカ:そうですね。私一人で頑張っても成果は限定的になりますし、DX推進の専門部隊がどれだけ動いても、肝心の社員が主体的に参加してくれなければ会社は変わりません。「全員参加型」がコスモのDXにおける大方針です。

井無田:企業のDX推進に多く携わっていますが、「DXには全員が参加すべき」というのは、言うはやすく行うは難しですが、実現できている企業は少ないと感じます。

ルゾンカ:シンプルに考えてみてください。みんながやる気を出してくれるのは、「やらざるを得ないほど切羽詰まっている」ときか「楽しいからやりたい」ときのどちらかですよね。それなら、後者のほうが良いに決まっています。だからこそ、コスモエネルギーグループで働くすべての人に「DXを楽しい」と感じてもらい、主体的に参加してもらうための仕組みや環境の整備にこだわってきました。“ポジティブに進めていく”ことが成功の鍵です。

次のページ
DXとはすなわち、現代のビジネス変革である

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この記事の著者

井無田 仲(イムタ ナカ)

テックタッチ株式会社 代表取締役慶應義塾大学法学部、コロンビア大学MBA卒
2003年から2011年までドイツ証券、新生銀行にて企業の資金調達/M&A助言業務に従事後、ユナイテッド社で事業責任者、米国子会社代表などを歴任し大規模サービスの開発・グロースなどを手がける。「ITリテラシーがいらなくなる...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中釜 由起子(ナカガマ ユキコ)

テックタッチ株式会社 Head of PR中央大学法学部卒。2005年から2019年まで朝日新聞社で記者・新規事業担当、「telling,」創刊編集長などを務める。株式会社ジーニーで広報・ブランディング・マーケティング等の責任者を経て2023年にテックタッチへ。日本のDX推進をアシストするシステム利...

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https://enterprisezine.jp/article/detail/20706 2024/11/13 09:00

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