AIが建築設計を変える
オートデスクは1982年の創業以来、建築業界のデジタル化を牽引してきた。代表的な製品にはCADツール「AutoCAD」、BIM(Building Information Modeling)製品「Revit」、クラウドベースの3D CADツール「Fusion」などがある。現在は、建築業向けのクラウドプラットフォーム「Autodesk Construction Cloud」(ACC)を中心に、統合したサービスを提供している。
「AU2023」の発表の中心は、同社の建築、製造、デザインの製品領域にAIを実装することであった。同社CEO アンドリュー・アナグノスト氏は、建築業界が直面する主要な課題として「プロジェクトの複雑化と長期化」「人材不足」「テクノロジー進化への対応」を挙げ、これらを解決する目的で「Autodesk AI」を提供すると紹介した。
建築設計・エンジニアリング・施工(AEC)の分野において、AIは今後大きな変革をもたらすとアナグノスト氏は言う。設計プロセスの自動化、資源配分の最適化、プロジェクト管理の効率化など、重要な役割を担う可能性がある。たとえば建築設計ではAIが多様なデザイン案を迅速に生成し、最適な選択肢を提供できる。さらに、AIによるシミュレーションは建築材料のコスト削減や環境影響の最小化に役立つ。Autodesk AIが「反復作業の自動化」「デザイン・設計能力の拡張」「データ分析」をもたらすとアナグノスト氏は語る。こうしたAIによる建築設計の変革は、コストの最小化や効率化のためだけのものではなく、建築設計のプロセスそのものを変革するという。
こうしたAIによる建築設計の今後のビジョンについて、AU2023のセッションの中で、オートデスクのバイスプレジデントであるニコラス・マンゴン氏が語った。