日本オラクルは、SMBC日興証券が同社の全社員約10,000人が利用する情報システム基盤を「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上に移行したと発表した。
オンプレミスの「Oracle Exadata」で稼働していた従前環境を「Oracle Exadata Database Service」を活用しクラウド化することで、ユーザー数やデータ量の増加に対応可能な、柔軟性と拡張性を備えたシステムに刷新したという。また、東京、大阪リージョンを活用した災害復旧(DR)兼検証環境も新たに構築しながら、運用コストを低減していると述べている。
SMBC日興証券は、データセンター利用とIT運用コストの最適化を図るため、システムの集約、統合およびクラウド化を推進しているという。システムの単純更改ではなく、セキュリティ強化やシステム拡張などに人材やコストなどのITリソースをシフトする方針のもと、システムの最新化を図っており、その一環として、全社員約10,000人が利用する営業情報システムを、今後のユーザー数やデータ量の増加に対応可能なシステムに刷新するため、クラウド化を検討していたと述べている。その中で、従前環境のOracle Exadataと同等の性能、ユーザーへの影響を極小化した確実かつ短期間での移行、可用性の向上に加え、BCP対策強化のためのDR環境と定期的なバージョンアップを推進する検証環境が新たに求められていたという。
複数のクラウドサービスを検討した結果、性能と安定性、移行の容易性、東京、大阪の2リージョンでの利用が可能な点を評価し、Oracle Exadata Database Serviceを選定したとしている。
このシステム移行は、日興システムソリューションズが、東京リージョンでの本番環境と大阪リージョンでのDR/検証環境の設計、構築を行ったという。アクセンチュアが、このシステム移行全体の戦略策定、プロジェクト推進、設計、構築を支援したとしている。加えて、NTTデータが提供するパブリッククラウド活用ソリューション「A-gate」の導入により、セキュリティカバナンスおよび情報漏洩を防ぐセキュリティ対策を実現したと述べている。
データベース移行は、日本オラクルのコンサルティング部門が支援し、従前システムから約40TBのデータ移行を短い停止時間で実行するため、「OCI GoldenGate」を活用。クラウド化された本番環境では、従前環境と同等以上の性能を実現しながら、柔軟なリソース変動が可能になり、データ量やユーザー数の増加に伴うシステム拡張も迅速に行えるようになったとしている。
また、新たなDR/検証環境では、「Oracle Data Guard」で本番環境とのリアルタイムなデータ連携を実現し、可用性を強化。検証環境を活用し、定期的なバージョンアップを行うことで、従来の一斉大規模更改から脱却し、セキュリティ向上も実現しているという。コスト面でも、今後5年間で2億円程度の運用コスト低減が見込まれているという。
今後、SMBC日興証券では、基幹システムのモダナイゼーションにもOCIを活用していく予定だとしている。