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みずほリース×日立が3ヵ月で全社規模のデータ活用基盤を構築できた理由とは?プロジェクトの裏側を振り返る

既存システムに影響を与えず、迅速にデータ活用基盤を構築。日立がOracle製品に自信を持つワケ

既存システムに影響を与えず、迅速にデータ活用基盤を構築したい

 データ活用基盤の構築プロジェクトは、2022年1月頃から始まった。別途、ITインフラの刷新が進められているため、新旧のシステムが混在する過渡期にあっても、これまでと同じように必要なデータを抽出し活用できる状況にすることが最初の要件だった。

 次のステップでは、データを1ヵ所に集約しクロス検索なども容易にする。また、外部データなども取り込み、それらも合わせて柔軟に分析できる環境を構築する。加えて、宮谷氏は「ここ1年で生成AIが登場し、情報系システムの定義も変わったと考えています。今後、生成AIも活用していけるデータの蓄積場所を実現するのも、新たな要件です」と、近い将来の展望を語る。

 みずほリースでは、営業系のリース契約や物件管理、会計系の基幹システムがオンプレミスで稼働している。それらの多くでは、データベースにOracle Databaseを採用しており、データベース・リンクやETLなどの機能を用い、システム間でかなり密に連携しているという。この構成では、一部で変更を施すと他システムに何らかの影響が生じる場合がある。

 また、同社はシステムごとに構築・運用のサポート体制が異なるマルチベンダーの状況でもあった。複雑なシステム間の構成をひも解き、一からクラウド上に新たなシステムを構成するには、相当の手間と時間がかかる。そのため、新たなデータ活用基盤は、オンプレミスとほぼ同じ構成をクラウドで実現する必要があった。「Oracle Databaseの複雑なシステム環境で、クラウドでもオンプレミスと同様の構成が実現できるとなれば、選択肢はOCIしかなかった」と宮谷氏は話す。

 OCIでのデータ活用基盤構築プロジェクトにあたり、まずは既存システムを担当するベンダーに声をかけ、支援を依頼したという。依頼時の要件は、データ活用基盤の構築と同時に、既存システムの性能へ影響が出ないようにすること。よって、パフォーマンスに関連するパラメーターの変更などは不可とした。また、より新鮮なデータを活用するために日次でデータを更新したいが、そのための時間を夜間の5時間以内に収める必要があった。さらに、迅速な立ち上げとスモールスタートのために、小規模なPoC環境から始めて本番環境へスムーズに移行することとし、当然ながらアクセスコントロールなど必要なセキュリティを確保する必要もあった。

 これらの要件を満たすには、OCIの環境に精通していること、そして基幹系システムの構成を理解し迅速にクラウド化できる技術・ノウハウを有していることの両方が必要だ。しかし、「OCI以外のクラウドのスキルなら有している。あるいは、構築のスピードを求めなければ可能だとの声はありましたが、両方の要件を満たせるところはありませんでした」と宮谷氏は振り返る。

なぜ日立を選んだのか、プロジェクトのスタートを振り返る

 みずほリースでは当時、既存システムの開発・運用においては日立との関わりはなかった。しかし、OCIをはじめOracle製品に関するスキルや知見が豊富であるとのことから、相談してみることに。すると、短期間で実現できるとの回答があり、データ活用基盤の構築を日立に依頼することを決意した。

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 みずほリースのデータ活用基盤では、オンプレミスのOracle Database 11gベースの各システムから、データをOCIのマネージドサービスであるBase Database Serviceに同期する仕組みとした。日立は、既存システムに影響を与えずにデータを同期するために、いくつかの方法を比較・検討する。今回のプロジェクトでは、既に論理バックアップを取得していたことから、それを活用するOracle Data Pumpを用い同期する方法を検討。机上で検証し、夜間の5時間以内に転送し展開できることを確認した後で、みずほリースにこの方法を提案。採用が決定した。

 宮谷氏は、「スピードとOracle製品への知見、そして既存システムを維持しながらのデータ基盤構築という要件に多くのベンダーが難色を示す中で、日立からはすぐに『実現可能』だという回答がありました。それだけではありません。過去の経験や蓄積したノウハウから、『これとこれと、それからこれをやればいけます』という具体的なアプローチのパターンを、最初からいくつも提案いただいたのです。これには驚きました」と、当時を振り返る。

 長年Oracle製品を扱ってきた日立は、これまでの経験からOCIへのデータベース移行ノウハウをテンプレート化したスターターパックも有している。だからこそ、みずほリースの高度な要件にも即座に提案ができた。また、スターターパックは、従量課金でスモールスタートにも対応しやすいOCIのBase Database Serviceにも対応しており、あらかじめ外部からの不正アクセスを防ぐなどのセキュリティ対策も含まれている。

 日立のノウハウをテンプレート化したスターターパック、OCIに関する膨大な知見、そしてOracle Databaseに対する深い理解や、クラウド移行時の注意点などが合わさり、みずほリースは3ヵ月という驚くべきスピードでデータ活用基盤を構築できたのである。

 「3ヵ月という驚異的なスピードで構築できた上、その期間に問題は一切発生しませんでした。また、都度発生する細かい悩みや相談にも親身に寄り添っていただき、我々の譲れない要件を満たした上で実現可能な手法をいつも提案してくださいます。今回のプロジェクトだけでなく、みずほリースの変革に向けた今後の新たな取り組みでも、その豊富な知見と提案力でお力添えいただきたいと思っています」(宮谷氏)

全社規模のデータ活用基盤を構築したみずほリース。宮谷氏は、次のステップに向けた日立との共創にも期待を寄せる

全社規模のデータ活用基盤を構築したみずほリース。

宮谷氏は、次のステップに向けた日立との共創にも大きな期待を寄せる。

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日立が期待に応えられた理由、それはOCIの知見だけではない

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社日立製作所

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