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プライム企業の9割が生成AIを導入済み 6割は「自社開発に踏み出している」──デロイト トーマツ調査

 デロイト トーマツ グループ(デロイト トーマツ)は、プライム市場に上場している売上1000億円以上の企業の部長クラス以上を対象とした「生成AI活用に関する意識調査」を実施した。

プライム企業の9割弱が「生成AIを導入済み」

 生成AIの導入について、94.3%が「有益」と考え、87.6%が「生成AIをすでに導入している」と回答した。また、特定の部署ではなく全社導入を進める割合は、「従業員数10万人以上」が39.5%、「5万〜10万人」が32.1%、「1万〜5万人」が26.5%と、従業員数が多くなるにつれ高くなる傾向が見られた。一方で、実際の利用割合については、企業規模に問わず「一部の社員のみの利用」の回答が多く、社内浸透に課題が見受けられると同社は述べている。

導入目的は「業務効率化」が圧倒的

 導入目的については、企業規模や業界を問わず「業務効率化」が最多となり、将来の導入目的も同様の結果に。一方で、経営層に近づくほど「業務自動化」「コスト削減」「イノベーションの加速」が増加する傾向にあった。

 また、生成AIが搭載された顧客向けサービスの提供状況について質問したところ、「すでに生成AIが搭載されたサービスを提供している」(15.5%)、「現在生成AIを活用したサービスを検討・開発している」(53.1%)となり、7割近くの企業において生成AIを活用したサービス提供を進めていることが分かった。

生成AIの利用割合が高いほど「社内の意思決定のスピードが向上」

 導入後の社内の意思決定スピードの変化について、生成AIの利用割合が高いほど「意思決定のスピードが大幅に向上した」または「意思決定のスピードがわずかに向上した」と回答しており、意思決定スピードの向上を実感する傾向が見られた。

 また、生成AI活用による社員の生産性についても、生成AIの利用割合が高いほど、生産性向上を実感する傾向が分かった。生成AIが多くの企業に利用されつつある中で、社内利用が広がる企業とそうではない企業において、導入効果の差が具体的に現れ始めていると同社は述べている。

6割弱が「生成AIサービスの自社開発に踏み出している」

 生成AIサービスの自社開発について確認したところ、「ベンダー製品生成AIサービスをそのまま利用している、する予定である」と19.2%が回答。一方で、56.1%が「ベンダー製や自社製を用いた生成AIサービスの自社開発を行っている、行う予定である」と回答した。

 また、自社開発をするとした回答者のうち、「自社による独立開発を見込んでいる」が2割弱であった。さらに、LLMの導入・開発に関しても、「オープンソースLLMを導入する」と回答した人が約2割であるのに対し、「自社専用LLMを開発する」と回答した人は約3割と上回る結果になった。

3割の企業が「生成AIに伴う人員配置転換」を実施

 生成AIの登場に伴い、3割が「人員配置転換を推進」し、また2.5割が「将来のAI代替人材の雇用削減を始めている」と回答した。従業員数10万人以上の企業においては、人員配置転換を「行っている」が「行っていない」を上回り、積極的な組織再編の姿勢がうかがえる。また、9割が「生成AIのエキスパート人材が不足している」と回答し、供給が圧倒的に足りていない現況が分かった。雇用を巡った組織再編について、海外企業と比較すると保守的態度をとる日本の大企業でも、生成AIの登場により4人に1人が着手していると回答していたのは、目を見張る実態だと同社は述べている。

 さらに、人員配置転換について企業部門毎に焦点を当てると、6割弱が「IT」、4割弱が「研究開発」について人員増加を行っていると回答。一方で、人員削減については、約3割が「人事・総務」「経理・財務」について人員削減を行っていると回答した。

 なお、同調査の概要は次のとおり。

 調査概要
  • 調査目的:企業の、生成AIに対する理解度や関心度合い、生成AI活用の現状の実態を調査し、課題・悩みを把握すること
  • 調査期間:2月~3月 インターネットでの調査
  • 調査対象者:プライム市場所属売上1000億円以上の企業の部長クラス以上1200名
  • 集計・分析は、業務に生成AIを導入すべきか分からないと回答した20名を除く1180名で実施
  • 設問:30の設問で「生成AI導入・活用関連」「売上・コスト関連」「生成AI人材関連」の3テーマの回答を取得

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